一般社団法人 東京ニュービジネス協議会 会長   青木正之

事業成長を目指すアントレプレナーのプラットフォーム 起業から事業承継まで支援

1985年の創設から40年を迎えた東京ニュービジネス協議会(NBC)。事業成長を目指すアントレプレナーのプラットフォームとして、起業から事業承継まで成長ステージに合わせたサポートプログラムをそろえる。ベンチャー育成が日本経済の活性化に欠かせないからだ。節目の2025年に第10代会長に就任した青木正之Ubicomホールディングス社長(CEO)に注力する取り組みや展望などを聞いた。

――前会長の井川幸広クリーク・アンド・リバー社会長(CEO)は「会員ファースト」をメインに掲げ、活動を活性化させた
井川前会長は、就任された2020年からの5年間で会員数を約300人から約1000人に拡大し、今では年間230件のイベントが開かれるようになり活況を呈している。若返りが進み(30~40代の若手経営者50%)、女性会員の活躍が大きい。NBCの躍進を支える事務局機能なども強化された。こうした井川前会長の成果を引き継ぎ、さらなる活性化を図っていきたい。
――副会長として井川体制を支えた
IPO(新規株式公開)を目指すベンチャー企業の成長を後押しするため、ピッチバトル「スタートアップ・メンタリング・プログラム」を立ち上げ今年で7年目を迎えた。また、5年前に副会長に就任し、上場経験者から直接ノウハウを学ぶ場として「IPOスクール(現在はIPO・M&Aスクール)」を設立。NBCには自ら起業し、苦労して上場を果たしたオーナー経営者が多く、若いベンチャー経営者を応援したいという意識も強い。このため、仕事が忙しい中でも起業家の先輩として、ボランティアでアントレプレナー創出イベントに参加し伴走してくれる。こうした文化がNBCに根付いている。
――会長として掲げたスローガンは
「革新的イノベーションをNBCから 挑む つなぐ 変えていく 2025」を掲げた。その実現に向け活動を4つのドメイン(事業領域)に整理した。「事業革新ドメイン」「会員企業サポートドメイン」「社会貢献・NBCバリューアップドメイン」「ネットワーキングドメイン」の4つの領域で、経営者の成長を多角的に支える仕組みを構築している。NBCには事業成長を目指す経営者にとって必要なすべてがそろう。起業を目指すジュニア・学生の育成からアーリー・ミドル・レイタ―ステージ、そして事業承継まで成長ステージに合わせた一気通貫のサポートプログラムを提供できる。コンテンツはオーナー経営者が自身の経験をもとに自ら作り上げたリアリティーあふれる内容であり、他の経済団体にはない強みといえる。
――会長直轄のプロジェクトも検討中と聞く
独自のNBCファンドプロジェクト設立に向けた検討も始めた。地域には優良企業でありながら成長機会を十分に生かせなかったり、後継者不在で事業継続を断念せざるを得なかったりする企業が存在する。こうした課題をファンドを通じて解決することを目指している。資金提供だけでなく、経営強化のために会員企業の中から優秀な人材を派遣することも考えられるし、会員のネットワークを生かせば商品・サービスの市場開拓を手伝えるだろう。また、海外との連携を模索・検討するプロジェクトを準備しており、成長企業の挑戦を後押しする。
――成長ステージに合わせた支援のほかに力を入れていることは
弁護士や会計士、税理士などの専門家が在籍しており、法務や税務などの勉強会開催や、補助金申請などの情報提供で会員企業を支援する。また女性活躍を推進する勉強会・交流会も活発だ。さらに会員同士の信頼関係を深め、ビジネスマッチングやアライアンスを推奨することで新たな事業機会の創出にもつなげている。
――NBCの存在感・発信力を高めるという目標については
約1000の会員規模の維持とNBCの知名度向上に向けて戦略的広報を打ち出した。井川前会長の「会員ファースト」の次に、私が取り組むのはNBCのブランディングだ。この一環として、今年6月に会員に対し経営状況や課題意識、行政・社会に対する要望を聞くアンケートを実施した。人手不足など経営者としての生々しい声が集まったので、これらを中小企業の支援につながる政策提言に生かしていく。そのためにも事務局にはスタッフとしての機能を果たすだけでなく、会員の輪の中に入って自主的に活動する必要がある。求められるのは「守り」ではなく、戦略的に動く「攻め」の広報だ。
――NBCの将来像は
NBCは「経営者を元気にする経済団体」でありたいし、多くの成長企業が生まれることを目指す。そのための仕組みを構築した。約1000の会員が互いに専門性を提供し合うことで、学びと成長を加速させ、真の意味でもイノベーションを生むコミュニティを実現したい。NBCは創設から40年がたち、仲間や社会の課題を自分事として捉え、行動できるリーダーたちが集う場となった。起業家同士が切磋琢磨しながら共に成長できる環境が整っているので、今後はさらに発信力を高め、企業の成長を通じて社会への貢献を一層推進していきたい。

青木 正之(あおき まさゆき)
株式会社Ubicomホールディングス 代表取締役社長(CEO)
一般社団法人 東京ニュービジネス協議会 会長

1958年生まれ、大阪府出身。85年、㈱ルモンデグルメ(㈱ワールド子会社)入社。

同社取締役を経て、95年、親会社ワールドに転籍。98年子会社、㈱ワールドクリエイティブラボ(WCL)転籍により、IT業界に進出。

05年、㈱WCL代表取締役社長就任。同年、株式会社AWS(現当社)設立、代表取締役会長(現代表取締役社長)就任。

16年6月、東京証券取引所マザー市場上場、17年12月、東証第一部へ最短での市場変更。

2021年度より一般社団法人東京ニュービジネス協議会 副会長を務め、2025年度より会長に就任。

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