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株式会社サイラスコンサルティング 代表取締役   星野 友絵

伴走型コンサルと出版で経営者底上げ

出版や経営支援などを手掛けるサイラスコンサルティングは「10年先も売れ続ける人・企業づくりのサポート」を理念に掲げる。そのため顧客との密接なコミュニケーションを重視、顧客自身の性格や価値観を見据えて戦略を立てる。プライベートな悩みにも応じることで顧客を獲得してきた。星野友絵代表取締役は「経営者の(経営判断力や自己変革力などを)底上げをするため、人生に伴走することを厭わない」と言い切る。

――理念に「10年先も売れ続ける人・企業づくりのサポート」とある
理想は10年、少なくとも5年先を見越して、その未来から逆算して長期的視点からプロデュースしブランディングを行っていく。こうして組織が着実に右肩上がりになっていく道筋を作る。そのために顧客と二人三脚で実現に向けて取り組んでいくのが我々のスタイルといえる。
――そうした中で出版を手掛ける理由は
会社が成長していくには無形ではなく、有形なものが必要。形があるので残る。世の中にいいことをしているのに表に出ていない経営者は言葉を使って発信すべき。つまり書籍を出すことで、社内的には会社の存在価値を示せて社員との一体感が生まれる。いわゆるパーパス経営の徹底につながり、結果、社外にも伝わる。文章の力は大きく、出版することで経営がぶれなくなることはよくある。我々は言葉により経営者を底上げするコンサルタントといえる。
――会社設立のきっかけは
学生時代、親しい人の父親が事業で失敗して倒産。家族が離散せざるを得ない事態に追い込まれた。にもかかわらず、世間知らずの私は何もできなかった。この経験から、将来は経営者をサポートできる自分になろうと決意した。経営者が倒れると社員や取引先といったステークホルダー(利害関係者)への影響は大きく、ドミノ倒しが起きかねない。でも、経営者に心から信頼できる伴走者がいれば、そういった悲劇は回避できるはず。日本を元気にするお手伝いをしたいと思った。
――起業までの経緯は
大学院在学中から出版社に入社。経営専門雑誌記者として、いろいろな経営者にインタビューした。その後、書籍専門出版社に移り、編集者としてビジネス、心理学、医療、健康、教育、美容、恋愛・結婚など多様なジャンルを担当した。とくにビジネス書を出版するときは半年から1年程度は経営者に伴走するので、つながりが深まる。すると個人的な悩み、例えば家族・親族とのコミュニケーション不足で生じるトラブルなどの相談を受けるようになり、こうしたプライベートな問題に応じることもニーズがあると判断。出版社に勤めながらカウンセリングなどの学びと実践を経たのち30歳で起業した。
――経営者は孤独といわれる
悩みを抱えるとビジネスに影響を与えかねない。そこでビジネスだけでなく、経営者個人のコンサルティングも手掛けている。人それぞれ価値観は違うので、その元となる背景や思いを知ることで、大切にすべき道筋が立ち、各々に最適なサポートをすることができる。会社の数字だけを見るのではなく、ひとりの人間として向き合い、経営者の底上げにつなげたい。
――確かに価値観は人それぞれだ
IPO(新規株式公開)を志向する経営者も、上場に興味を持たない経営者もいる。事業承継にあたり後継者を探す人もいれば、バイアウト(売却)を求める人もいる。還暦(60歳)を超えてももう一旗、二旗上げると意気盛んな人がいる一方で、40代でバイアウトに成功した人もいる。我々は、顧客にいろいろな選択肢が生まれるようにコンサルとしてサポートする。
――顧客は増えているのか
伴走する経営者・企業は、常時80~100。年間100冊以上の出版を手掛けている。元々50〜60代が多かったが、最近は同世代が増えてきた。業種は多岐にわたっており、通信や医療、教育、美容のほか、自ら立ち上げた協会の代表もいる。知名度を上げ、コアなファンを得るには書籍が必要。顧客獲得のための営業活動はほとんど行っておらず、紹介と口コミだけで9割、リピートも8割強を占め、5年10年単位でのお付き合いの経営者も多い。
――どんな伴走を行っているのか
1日7人ほどと会う。経営、人事の相談から、プライベートの家族のことや相続のこと、発信の相談まで、1回あたり1時間程度から。洋服の見立て(ブランディング構築の一環)に付き合って半日かかったりすることもある。情報発信には見せ方も大事で、成長ステージごとに洋服や髪型も変える必要があるからだ。自分でいいと思っていても、意外と第三者が見ると違う。この乖離はかなり大きいので、経営者の底上げにはコンサルタントの意見が重要になる。
――後継者問題で相談に応じることは
やはり多い。後継ぎがいても悩む経営者はいる。会社存続が大前提なので、我が子にトップとしての適性があるか判断に迷う場合、そのまま子供には渡せない。会社としてベストの選択をしたいというのは正しい考えだ。
――出版とコンサルの売り上げに占める割合は
大きく分ければ出版5、コンサル5。顧客となる経営者は、出版とコンサルを行き来する感じだ。出版の話で会って、それに向けて密に接するうちにコンサルを頼まれたり、コンサルから入って出版したりとどちらも関わることが多く、両事業の境界線はない。
――事業範囲も広がっている
書籍を出して終わりではない。本が売れても事業につながらなければ会社として意味がない。このため経営者・会社の知名度を上げるためのPR活動も必要になる。今ではPR事業のほか、ホームページ制作、パンフレットづくり、プレスリリースと広報全般も担っている。
――自社で出版社も立ち上げた
「星野書房」を2023年5月に設立した。従来はビジネス、健康、教育をはじめ、各分野に強みと豊富な実績をお持ちの約20の出版社と組ませていただいて、本を出してきた。今後もこうした関係を保ちつつ、星野書房では、著者である経営者・企業が出したい本を、デザインから自由に手がけていく。第1弾は温活の協会の代表が著者の『カラダ温め美人図鑑』(2024年1月発売)で、今後は月間1~2冊ペースで出版していく予定。同時に絵本も出していく。星野書房の経営理念である「本物を未来へつなぐ」を絵本事業に託す。絵本で経営者が自分の思いを伝えるニーズは強いと感じる。次世代、子供たちに誇れる事業と確信しており、共感を得られるはずだ。
――10年後の自社の姿をどう描いているのか
日本の未来に大きく貢献する会社になっていたい。星野書房をベースに、現在の10倍の規模で展開し、経営者や企業、国のダイナミックな変化に柔軟に対応できる状態を構築している。世に知られる価値がある経営者・企業を紹介することで、社会貢献と収益の両立を目指す。そのためにも社会にいいことをして収益をあげている会社をサポートする。経営者自身や自社の成功だけでなく、社会が潤うことを喜べる人こそ伸びると考えている。子供たちの世代にいいものを残していきたい。そのためにも社員を増やすが、家族のような経営を基本に、会社のメンバーやクライアントたちとみんなで成長すること、共に生きることにこだわっていく。
星野 友絵(ほしの・ともえ) 代表取締役
株式会社サイラスコンサルティング/星野書房 代表取締役

日本女子大学・大学院在学中より、ビジネス系出版社に勤務。卒業後、経営雑誌記者を経て書籍編集者になる。ビジネス、経営、医療、健康、心理学、教育、子育て、美容、恋愛・結婚…と幅広いジャンルを担当。30歳で起業したのち、会社を設立し、現在創業14年目。経営者のコンサルティング事業と、出版事業に従事。年間100冊以上を手掛け、着実に本とビジネスが売れる流れをつくるほか、出版以外のさまざまな媒体で、経営者の言葉の発信をサポート。ファンの獲得を得意とする。

プロデュース書籍の重版率は、平均85%(日本の平均重版率は15%弱)。
著書は共著を中心に数冊。理念は「本物を、未来へつなぐ」。

Webサイト: http://silas.jp/

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