ユニタスグローバル株式会社 代表取締役CEO   奥野 政樹

親会社交代、協働効果で最高品質のサービス提供

法人向けインターネット接続サービスなどを手掛けるINAP Japan(インターナップ・ジャパン)は2022年11月30日付で「ユニタスグローバル」に社名を変更した。親会社の米INAPがグループのネットワークコネクティビティーサービス事業を、グローバルネットワークエッジを提供する米Unitas Globalに売却したためで、同社の100%出資子会社として再出発した。奥野政樹代表取締役CEO(最高経営責任者)は「新たな商材を手に入れることができた。顧客に最高品質のサービスを提供できる」と早くも手応えを口にする。

――親会社が変わった理由は
当社の設立は01年4月。INAPとNTTグループによる合弁事業としてスタートした。しかし、親同士は最初からすれ違いの連続で、やがて両社とも我々に対する興味を失っていった。NTTが株式を手放し、INAPの100%子会社になったが、同社は経営不振に陥り、20年に米国の再建型倒産法制『連邦破産法11条(チャプター11、日本の民事再生に相当)』を申請した。『経営の心、ここにあらず』の状態に陥り、日本事業を売ることになり、M&A仲介会社が買い手を何社も紹介。私も面接に引っ張り出された。
――その中でUnitas Globalが名乗りを上げた。どう受け止めたのか
22年5月のゴールデンウイーク前にINAPのCFO(最高財務責任者)から突然、連絡が入り『(売却先が)Unitas Globalに決まった』と告げられた。日本事業だけがたたき売りされると思っていたが、『INAPはネットワーク事業すべてを売るので、ついていきなさい』ということなので安堵した。INAPは22年5月にUnitas Globalへの売却を発表したが、M&Aをクローズするまで半年かかった。INAPには振り回されたが、クローズできたのでUnitas Globalとは協力を密にして、日米で早期にシナジー効果を出したい。実際、INAP時代は月1回程度、連絡会議を開催していたが、今は週1回。資料作りも大変になった。
――クローズするまでの半年間はビジネスをやりにくかったのでは
11月まで正式に社名を変えられなかったが待ちきれず、7月に函館で開催されたイベント『JANOG50 Meeting』でユニタスを前面に出し、展示ブースやスタッフユニフォームにも『まもなくユニタスグローバル』と書いた。ユニタスグローバルをなし崩しで名乗るようになったわけで、このころはもう、気分はユニタスグローバルだった。とはいえ不動産関係は変えられず、本社ビル(東京都千代田区)の看板はINAP Japanのまま。顧客の中にはここがユニタスグローバルの本社なのか分からず帰ってしまうこともあった。
――ビジネスのやり方などは変わったのか
Unitas Globalはコーポレートバリューとして『フェローシップ』を掲げる。同社の社長は仲間を大事にするとか、助け合いの精神を最も大事にしている。人事評価制度も社員の優秀さに基づく。当社も『協調するのではなく周りと協働する』を行動規範に掲げている。だから、やりやすい。他の外資系企業は踏み込んでくるからだ。日本のビジネスをおかしくする第一歩になりがちなのに分からない。我々はフェローシップのもと、協働して事業を展開していく。
――協働してビジネス展開とは
INAPは経営が行き詰まり、当社とかみ合わなくなっていたが、我々は必死になってやる気を失わないように仕事に取り組んできた。Unitas Globalグループの一員に加わることで新たなビジネスのやり方、商材を手に入れることができた。心も通い合うので、両社の技術を融合・拡張することで新しい世界にチャレンジできるとワクワクしている。
――ユニタスグローバル(旧INAP Japan)が誇る技術とは
独自技術として磨き上げてきたものとして、最適経路選択技術『インテリジェント・ルーティング』がある。その時々で一番回線環境が良いラインにつなぐ技術で、これにより切れない、安定品質、サポート万全というネットワークを提供できるようになった。それまでは不安定で商用には向かないとされていたインターネットをビジネスインフラとして利用できるようにした。この技術を生かす。
――具体的には
インテリジェント・ルーティングは、INAPが開発した『MIRO(Managed Internet Route Optimizer)』によって実現したものだが、このMIROとUnitas Globalが得意とするドーナツ・ピアリングの強みを組み合わせたインターネット接続サービス『Unitas MIRO Donuts Net』を売り込んでいく。
――ドーナツ・ピアリングとは
ドーナツ・ピアリングは約10年前に、Unitas GlobalのCTO(最高技術責任者)がインターネットの新たなあり方として打ち出した。最上位階層のTier1(インターネット上の全ての経路情報をもつ最大手のインターネットプロバイダー)のネットワークを迂回して世界中のインターネット利用者とコンテンツ事業者の間を直接つなぐ。例えると、首都圏で横浜方面から千葉・成田方面に高速道路を使っていく場合、以前は都心部を走る首都高速道路を必ず通らなければならず渋滞が避けられなかった。東京外郭環状道路ができてからは首都高を使わずに済むようになった。ベストルートを使うことで渋滞を回避でき、早く到着できるわけだ。このようにドーナツ・ピアリングに最適経路選択のMIROの技術を乗せることで、一番早いルートを選べる。言い換えると通信品質を高めると同時に通信費用を抑えられるので、他社より優れた通信プラットフォームになれる。現在は5,700超のネットワークとピアリング(接続)している。
――このほかの商材で期待しているものは
2つ目は『Unitas Reach』だ。現状では173カ国超で展開されているUnitas Globalのグローバルネットワークで、Unitas Reach上のインターネット接続をはじめ、拠点間接続、クラウド接続などの通信サービスを幅広く提供している。このサービスを日本でも提供していく。このほかには、テレコム事業者向けサービス『Unitas NEXUS』を投入する。大きな手間とコストがかかる複数キャリアをまたぐ国際ネットワークの設計を自動化し、費用の見積もりから調達までを実現するプラットフォームだ。このサービスを国内テレコム事業者が導入すると、自社回線の販売機会が増すだけでなく、現状では接続性がない海外地域へのサービス拡張も可能になる。
奥野 政樹(おくの・まさき)
ユニタスグローバル株式会社 代表取締役CEO
1988年 早稲田大学法学部卒業
1988年 日本電信電話株式会社入社
1992年 会社派遣によりニューヨーク大学法科大学院へ留学
1994年 ニューヨーク州弁護士資格取得 帰国後、数多くの国際M&Aプロジェクトで交渉を担当
2003年 インターナップ・ジャパン株式会社へ出向
2006年 同社代表執行役CEOに就任
2016年 同社代表取締役CEOに就任
2022年 ユニタスグローバル株式会社に社名変更

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