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一般財団法人日本アントレプレナー学会 理事   勝亦 徹

「仕組み経営」で中小・スモールビジネスの成長を支援する認定資格――「仕組み経営コーチ」の育成を強化

一般財団法人日本アントレプレナー学会は、世界的ベストセラーとなった中小・成長企業経営者向け書籍のマイケル・E・ガーバー著『はじめの一歩を踏み出そう』に記された考え方をもとに、会社経営を「人依存」から「仕組み依存」に変革させるためのメソッドを提供している。同学会が提唱する経営コンセプトが「仕組み経営」だ。同学会では今、そのメソッドを通じて経営の仕組み化を支援する認定コーチである「仕組み経営コーチ」の育成に力を入れている。理事の勝亦徹氏に、認定資格の概要や資格取得のメリット、コーチの活動フォロー態勢などについて聞いた。

中小企業、スモールビジネスで着々と成果を上げる「仕組み経営」メソッド

――まず、「仕組み経営」は主にどんな企業を対象にしていますか?
私たちのミッションは、日本の中小企業、スモールビジネスを、経営の仕組み化という手段を通じて発展成長させていくことにあります。
「仕組み経営」の導入を検討されている企業の多くが、人がボトルネックになっているという悩みを抱えています。これからビジネスを拡大していきたいと思っていても、業務が社長や特定の人に依存し属人的になっているので、会社が思うように成長しないのです。
【参考記事】 経営の「仕組み化」で社長が交代しても事業が継続する会社を作る https://www.innovations-i.com/interview/17264.html
「仕組み経営」導入企業の規模は年商約3000万円~30億円が多く、社員数5名~200名。導入企業の多くは従業員数が一桁台ですが、従業員50名以上で売上高数十億円の企業もあります。
お客様の具体的なニーズとしては、 ・既存事業を社員に任せて新規事業を立ち上げていきたい ・組織を整備し成長軌道に乗せていきたい ・経営者の働く時間とストレスを減らしたい ・社長職を譲り、会長職に就きたい ・社員や家族に事業承継したい ・M&Aを行いたい というもので、これらを実現するためには、すべてにおいて経営の仕組み化が必須です。
お客様の業種や業界はさまざまですが、共通しているのは、社長さんがプレーヤーとして一生懸命働いていること。今、社長さんが行っている仕事を手離れさせて、経営に専念することにより、会社を成長段階に持って行きたいという話が多いですね。
このまま売上を増やしていっても、いずれ限界が来る。それが自社の成長のボトルネックになっているというわけです。
――まさしく「成長のカベ」、別の言葉でいえば「仕組み化のカベ」に突き当たっているわけですね
そうです。やはり経営者の皆さんには事業を拡大したいという思いがあり、「今のままでは駄目だ」と考えている方が少なくありません。
――最近どんな企業が「仕組み経営」を導入し、成果を上げていますか?
たとえば、スタッフ数約20人の整体院に「仕組み経営」を導入していただきました。
・「仕組み経営」のメソッドに従い、職務契約書を作成したことで、各自の業務遂行内容が明確になった ・社長の自分が現場にいなくても会社が運営できる仕組みを作ることができた ・実際に売上が向上している。離職率も低い という声をいただいています。
職務契約書とは、「この役職にはこういう成果を求めている」というように、各自の役割を明確化するために作成するものです。「職務契約書に定められているあなたのこうした役割は、会社のビジョンに対してこんな貢献ができます」と役割を明確化したうえで、それぞれの業務を仕組み化していくアプローチを進めていくわけです。

すべての企業に存在する経営の仕事全体を仕組み化

――ほかにどんな業種・業界の事例がありますか?
私もコーチの1人ですが、今、私だけでも13社へのコーチングを同時進行させていますが、1社はテニススクールで、もう1社は水回りの設備機器業者。ほかにもパティシエ、Webマーケティング会社、食品製造業、建設業、電気工事業者など、業種は多種多様です。
――パティシエなどのスモールビジネスのお客様もいらっしゃるのですね
多いですね。そのパティシエさんは、まだ規模は小さいのですが、「将来アジアなどにも展開していきたい」と話していました。将来の成長を見据えて、今から経営を仕組み化しておきたいというご希望があり、「仕組み経営」の導入に至ったのです。経営を仕組み化するのは早ければ早いほど良いのです。
これはきちんと説明しておきたいのですが、私たちが提案しているのは「仕組み経営」です。仕組み化というと、営業や採用といった部分的な仕組み化やマニュアル化を想像しますが、私たちが手がけているのは経営の仕組み化。会社の経営全体を仕組み化する方法を体系化しているわけです。
会社には、営業やマーケティング、総務などと同様に「経営」という仕事があり、それを経営者が担当しています。経営という仕事は業種業界や事業規模を問わず、すべてに存在するものです。私たちは経営全体を仕組み化しているので、業種・業界や規模に関係なく経営をサポートさせていただくことが可能です。
業種・業界が違っても変わらず大切にしているのは、経営を仕組み化したいと考える社長さんの思いに寄り添うことです。

「仕組み経営」のスペシャリストとして活躍できる認定資格

――「仕組み経営コーチ」とはどういう資格で、どんな経緯でスタートしたのですか?
「仕組み経営コーチ」は、中小・スモールビジネスの経営を人依存から「仕組み依存」に革新するためのサポート役
「仕組み経営コーチ」は日本アントレプレナー学会が主催している認定資格。私たちが提唱している経営の仕組み化を推進し、ほとんどの中小・成長企業が陥る「人依存」の経営から「仕組み依存」への変革を支援することができる専門資格です。
経営の仕組み化を実現するためのノウハウやコーチングスタイルが整い、今後普及を目指していく中で、「仕組み経営」の価値を伝え、導入をサポートできる人材を増やしたいと考え、2020年10月に認定資格制度をスタートさせました。
――どのような方に、資格取得をお勧めしますか?
主な対象者は、士業、コーチ、コンサルタントといった中小・スモールビジネスの経営者に向けてビジネスをしている方。もしくは、自社の経営を仕組み化し、空いた時間や将来的に経営アドバイザー的な仕事をしたい経営者の方です。
「仕組み経営コーチ」の人数は現在20人で、社労士の方が多いですね。士業の皆さんにも広く資格取得をお勧めしています。それ以外に、Webのマーケティングコンサルタントや人事コンサルタント、不動産業を手がけながら「仕組み経営コーチ」として活動している方もいます。
基本的には全員が経営者。「仕組み経営コーチ」の仕事は経営のサポートですから、コーチ自身が経営者もしくは個人事業主であることが望ましく、経営者の方に資格取得をお勧めしています。
――数ある企業向けのコンサルティングやコーチング手法の中で、「仕組み経営」の強みは何ですか?
まず、コンテンツ側からいうと「仕組み経営」は、会社の経営全体をつなぐ一貫性のある仕組み化のメソッドであるということ。先にも述べた通り、営業や採用といった個別の機能の仕組み化ではなく、経営全体を、一貫性を持ってつなぐ唯一のメソッドです。
コーチ側のメリットとしては、ほぼすべてのお客様とリモートでセッションが完結すること。私自身、今13社へのコーチングを同時に行っていますが、お客様と対面でお会いしたのは2社だけです。コロナ禍が続く中、場所に縛られず非対面で完結する働き方には大きなメリットがあると思います。
――本業を持ちながら「仕組み経営コーチ」として仕事をしたい人にも、オンラインで完結する仕事のスタイルは魅力的ですね
そうですね。とくに今、経営サポートを手がけている方で「もっとお客様に貢献したい」と考えている方には、非常に相性が良いと思います。
また、「仕組み経営コーチ」をやってみたいと思う人は、これまで経営者のサポートをしてきたか、経営サポートに興味のある人で、企業経営に関連する何らかの勉強をしてきた方が多いはずです。
たとえば、これまで人材育成や採用関連の勉強をしてきたとか、M&A関連でデュー・デリジェンスの実務をやってきたなど、それぞれの分野で専門知識やスキルがあると思います。そういう方が、経営全体を一貫性を持ってつなぐ「仕組み経営」を学ぶことで、さまざまな分野の知識が統合され、「自分が学んできたことは、経営全体の中で、この部分とこうつながっていたのか」ということが体系的に理解できるようになるはずです。
逆に、たとえば「ITベンチャー向け仕組み経営」や「建設業向け仕組み経営」という形で、自分の業種や専門領域でニッチ化し、自身の強みの向上に役立てていただくことが可能です。
――資格取得のために、どんな内容を学ぶのですか?
オンラインで学べる6ヶ月間の養成講座を設けています。基本的に会員サイトの中に、養成講座と「仕組み経営」に関するあらゆる情報をストックしています。
コーチ養成講座は、主に「起業家の視点完全理解」、「コーチナレッジトレーニング」、「仕組み経営カリキュラム学習(自社導入と相互コーチング)」の3つの柱から成り立っています。
「起業家の視点」の完全理解とは、仕事を完了させる実行者として、専門能力を高めたいという動機のもとに仕事をしてきた職人型の社長が、自らビジョンを創り、新しい可能性を追求する起業家としての視点を持つこと。養成講座に設けた25項目のカリキュラムをマスターすることで、「起業家の視点」を理解していただけるようになります。
「コーチナレッジ」とは「仕組み経営コーチ」としてのナレッジ。実際に私たちが「仕組み経営」をお客様に提供するときに必要な心構えや教え方、集客の仕方、セールスまでの一連の流れを、「コーチナレッジトレーニング」で学んでいただけます。
「コーチナレッジ」は「仕組み経営」に特化したものではありません。汎用的にお使いただけるナレッジで、受講者の既存のビジネスにも生かしていただける構成にしています。
本題である「仕組み経営」については、約30項目のカリキュラムを用意。お客様に「仕組み経営」パッケージを提供する際に必要となるすべての知識や考え方を、ここで学んでいただくことができます。
――「仕組み経営」についてだけでなく、汎用的なコーチナレッジも学べるのは大きなメリットですね
「仕組み経営コーチ」は、従来のコーチングよりもさらに進化した、コーチングとコンサルティングを融合させた手法で経営の仕組み化を支援します。
というのも、コーチングとはお客様の頭の中に答えがあることが前提であり、コーチがそれを引き出す役割を担います。ところが、お客様には経営の仕組み化のノウハウはないので、コーチングだけでは十分な成果が出せません。
一方、コンサルティングはコンサルタントの頭の中に答えがあることが前提で、コンサルタントの頭の中にあるものが、お客様の成長の限界になってしまいます。そこでお客様の頭脳と「仕組み経営コーチ」の頭脳を融合させ、ハイブリッドで仕組み化の提案を行っているわけです。
もう1つ特徴的なのは、「仕組み経営」の価値をお客様にしっかり認識していただいたうえで成約に結びつけるために、「高確率セールスメソッド」というカリキュラムを用意していること。そのためのトークスクリプトやレジュメも作成しており、養成講座で習得していただくことができます。
――「高確率セールスメソッド」とは具体的にどんなものですか?
私たちが提供するサービスの価値の高さをお客様に伝え、「価格以上のメリットがある」と納得していただくには、どんなことをどんな順番で話し、聞いていくかが重要です。
そこで、お客様が抱える悩みの本質をまず突いて、それによってどんな問題が起きているかを聞いていく。それから逆に、その問題が解決したら、どんな未来が開けてくるのかを聞いていくのです。そして、その輝ける未来を実現するには、この「仕組み経営」コーチングプログラムがこう役立つということを説明していくわけです。
こういう流れを、質問とトークでしっかり作り上げていく手法が「高確率セールスメソッド」です。

「仕組み経営コーチ」のデビューから集客に至るまで、成功をサポート

とはいえ「仕組み経営」を初めて学び、それをいきなりお客様に提供することは非常にハードルが高いでしょう。これは私たちの養成講座の大きな特徴だと思うのですが、「仕組み経営」を学びながら、まず自分がコーチになって自社の経営を仕組み化。次いで、受講者同士がお互いの会社をコーチングし合い、実践的な訓練を行います。
つまり、「自社導入→自社の経営の仕組み化」という一段階目で、自分がお客様と同じ体験をし、具体的な手法を学ぶ。二段階目では受講者が相互にコーチングを行い練習を積み、三段階目でお客様へのコンサルティングという本番に入るのです。
そうした中で、養成講座も基本的に実習形式で行っているわけですが、私たちが最も配慮し、時間を費やしているのは受講者へのフィードバックです。たとえば「講座でこんなことを学んだのですが、それはこういう考え方で正しいでしょうか?」といった具体的な質問に対し、個別にお応えしています。
――どんなフィードバックの機会がありますか?
たとえば、まず月に1回実施するグルコン(グループコンサルティング)。これは本来、講師である私が受講者の皆さんに情報提供を行う場ですが、グルコン終了後に個別のコンサルティング枠を設けています。
また受講期間中に3回、1時間のマンツーマンでのコンサルティングの場も設けているほか、毎週月曜日に受講者が出入り自由の「Zoom」質問会を実施。そのほかメール、チャットでの質問は無制限というように、接点を数多く設けるようにしています。講座の中で、ワークシートや各ステップが終了した時点で報告をいただいたあと、私がその内容をチェックして受講者にフィードバックを行っています。
――オンライン講座にありがちな、放置されているような感覚はなさそうですね
受講者の小さな疑問ほど大切なので、それを解決するための機会をできるだけ多く設け、対応することを心がけています。
――受講時はもちろん、実際に「仕組み経営コーチ」として活動していく中で、手厚いフォローが受けられます
先に述べた「仕組み経営」の自社導入、相互コーチングを経て実際にお客様に対してコーチングを行う際、私や当学会の清水直樹代表理事のサポートが入ります。「仕組み経営」コーチングは基本的にオンラインで行われますが、「Zoom」で実施されるコーチングに同席し、受講者が自立するまで手厚くサポートしています。
――集客サポートのためのツールも豊富です
正直な話、集客は経験のない人や苦手な人は、かなり苦労する部分だと思います。そこで、商品・サービスに対する顧客の認知から興味・関心、比較・検討、購入に至る「マーケティングファネル」の考えにしたがい、まずは無料オファーで見込み客リストを取り、フロント商品を販売し、そこから個別診断や個別相談を経て「仕組み経営」導入に至る流れを想定しています。
具体的には、無料の「仕組み経営」レポートにご自身のプロフィールをつけてオリジナルのレポートを作り、無料オファーとして使っていただけるよう準備しています。
レポートを見て興味を持っていただいたお客様に対してもフロント商品を用意。お客様が自ら「仕組み経営」を学べるeラーニング講座、コーチとお客様による一対一の仕組み化診断や個別相談パッケージ、コーチが複数の企業や顧客企業の複数の社員に対して行うセミナーのテキストやチラシ、申込書なども揃えています。
オンライン集客用のLP(ランディングページ)に使っていただける素材も用意しています。LPを活用しながら、自分でブログ記事を書いて情報発信したり、チラシなどを持ってオフラインの交流会に参加する、リアルな付き合いのある人と話をしたり勉強会を開くという、集客活動を行うことができます。
経営+集客+コーチングをトータルで学べることも大きなメリット
――「仕組み経営コーチ」について詳しく知りたい人に向けて、どんな情報を提供していますか?
体験Webセミナー(https://lp.shikumikeiei.com/coachseminar/)を開催しています。コンサルタントやコーチの多くが突き当たる「単価の壁」、「専門バカの壁」。「人脈の壁」、「時間の壁」、「差別化の壁」の突破法を解説しているほか、私たちが実際にクライアントに提供している「仕組み経営」のカリキュラムの一部(仕組み化診断、経営者の時間活用、社長の人生戦略)も体験可能。
特典として、コーチやコンサルタントなどのアドバイザービジネスを本業で行っている人や、これから副業でアドバイザービジネスを始めたい人に向けて、セルフマネジメントやコンテンツ開発、マーケティング&セールス手法を解説しているEラーニングプログラム、「アドバイザーズアカデミー」の受講が可能です。
当面は年間40名前後のペースで「仕組み経営コーチ」の育成を進めながら、しっかり実績を作り、成果を着実に出せるクライアントを増やすことに注力していきたいですね。
「取材・構成 ジャーナリスト 加賀谷貢樹」
勝亦 徹(かつまた・とおる)
経営者の独自の強み(=エグゼタイム)を活かした経営戦略構築や経営の「仕組み化」支援、外注化支援のエキスパート。2018年10月一般財団法人日本アントレプレナー学会 理事就任。現職。

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