一般社団法人フィンテックガーデン 事務局長 井上達也

公開日:2019年8月8日

世界で通用するフィンテック技術者を育てる

設立した理由は
「あなたが使っているパソコンに日本人が作ったソフトは入っているか。答えは『ノー』だ。私は15年ほど前、ある金融機関からシステム開発の依頼を受け、当時の最高の技術でありながら低コストで製作したが、金融機関の担当者から『その技術は前例がない。作り直してくれ』『仕様書はないのか』と言われた。日本では大企業が作成したシステムや、みんなが知っている言語を使わないとビジネスにならなかったわけで、こうした古い考え方が日本の技術者から進歩を奪った。世界から取り残されてしまい、優れたソフトの製作者は外国人ばかりになってしまった。今や海外のシステムが主流になったため、日本人にとって使い勝手がいいものがなくなった。そこでフィンテックの技術者集団としてフィンテックガーデンを2018年8月に設立した。大企業の下請け、孫請けになったためにブルーカラー化したコンピューター技術者を再び立ち上がらせるのが狙いで、下請け体質から脱却させ世界で通用する技術者を育てるのが主眼だ」
日本の技術力が劣化した理由は
「今の日本はIT会社の社長にもかかわらず、コンピューターに詳しい人がいなくなった。コンピューターを商材の一つとしか捉えることができず、コンピューターに興味もない。レベルの高い技術者もいるが、下請けの仕事に甘んじるしかないのが現状だ。一方、海外では技術者が社長になり技術を広めている。日本はIT人材ではなく、ITに全く興味のない人が社長になるので技術レベルは低いといわざるを得ない。こうした実情を打破するため、日本に新しい技術を追い求める人たちを集め、技術力や発想で競い合う環境を作りたい。そして日本人が製作したシステムを海外に紹介したい。国から支援を受けられないので、われわれが支援する」
【フィンテックアワードを新設】

フィンテックアワード

主な活動は
「企業・起業家・学生を対象としたフィンテックシステムのコンテスト『フィテックアワード2019』を開催する。募集中で8月30日(必着)が締め切り期限。1次審査では実際に可動させ動作を検証し実現可能性を審査。通過した上位6社・個人が9月11日の最終審査に進む。紀尾井フォーラム(東京都千代田区)の会場で、3分間にまとめたプログラム実行動画を発表するとともに、7分間のプレゼンテーションを行う。優勝者には60万円、2位は30万円、3位は10万円を贈る。優勝してベンチャーキャピタルから出資してもらおうと考えるフィンテックベンチャーなどが応募してくると思われる。起業したてで今は規模が小さな会社や学生でも技術力やビジネスとしての目のつけ所が良ければ優勝する可能性は十分にある。フィンテックが世界的に急速に進化を遂げる中、今後の成長に欠かせないのが中小のIT企業や起業家の斬新なクラウドシステムの開発。この開発者を育成することが日本の大きな課題であり、アワードを通じて発掘し支援していきたい」。
【APIを公開】
このほかに取り組んでいる内容は
「フィンテックガーデン設立の背景でもあるのだが、国内のフィンテックデータは、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が公開されていない。たとえば金融機関の場合独自のフォーマットでデータを提供しているわけで、様々なデータが個々に独立し共通化されていない。このため各社バラバラのデータを取り込むには、それに適したシステムを開発しなければならない。そこでフィンテックガーデンが国内のフィンテックデータを共通化しシステムを一つ作成するだけで様々なデータを入出力できるシステムを開発する。この標準APIを今秋には発表、エコシステム(複数の企業・団体が共存する仕組み)として金融機関やフィンテック企業に公開し、自由に作成できるようにする。この話に乗る、乗らないは企業の自由だ」
フィンテックで取引内容を埋め込むQRコード「レシートQR」を発表した
「10月の消費税率10%への引き上げで、レシートに「総額」「消費税10%の対象金額」「消費税10%」「軽減税率消費税8%の対象金額」「軽減税率消費税8%」「非課税の対象金額」を記載しなければならない。経理処理もこの6つのデータを入力する必要があり、データ入力作業は6倍に増加する。複雑化する作業を軽減するためフィンテックガーデンは、税理士を中心とした委員会で研究を進めレシートに取引内容を埋め込むQRコード『レシートQR』という規格を策定し提案した。レシートQRをスマートフォンのアプリで撮影、もしくはイメージスキャナー(OCR)でレシートQRをスキャンするとデータを会計システムに取り込める。今回発表したレシートQRは適用範囲がレシートや領収書だが、その他の書類への展開も可能。例えば、請求書や銀行の通帳の明細をレシートQRのように印刷できれば、読み取るだけで明細をデータ化しシステムに取り込める」

一般社団法人フィンテックガーデン
事務局長 井上 達也(いのうえ たつや)

1985年 法政大学 経営学部卒
1985年 株式会社日本デジタル研究所入社。

同社を経て1991年3月、フリーウェイジャパンを設立
2018年8月、一般社団法人フィンテックガーデン事務局長に就任。
東京都出身。

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