■金箔仕様の贈答品向け4絵柄
金箔を使った万年筆を発売するセーラー万年筆の中島義雄社長=東京都江東区
安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の効果で、高級感のある内装を施した百貨店のラグジュアリーフロアが注目されるなど、高額商品の売れ行きが好調だ。こうした中で、セーラー万年筆が5月2日から、金箔仕様の万年筆「金麗(きんれい)蒔絵万年筆」を発売する。同社は「経済の上げ潮ムードを象徴する商品にしたい」(中島義雄社長)として、年間1000本の販売を計画する。
金箔には、伝統のある金沢箔を使い、絵柄は「花魁(おいらん)」「歌舞伎」「波に富士」「群れ松に鶴」の4種類。専用の化粧箱にも金箔を張り、記念品や長寿のお祝い品、贈答品向けを想定している。価格は8万4000円。
セーラー万年筆は、広島県呉市で創業して100年余り。万年筆やボールペンなどの筆記具のほか、電子文具や産業用ロボット事業を手掛ける。
日本初の純国産の万年筆メーカーで、1948年には日本で初めてボールペンの製造と販売も開始した。54年にはカートリッジ式万年筆の特許を取得したほか、72年にはやはり初めて、ふでペンを発売するなど筆記具の技術革新をリードしてきた。
昨年秋には就活生のアイデアを生かし、メモ、履歴書、宛名書き用に3種類の太さの芯を一本のペンに納めたボールペンを発売。今年2月には、東日本大震災で津波被害を受けた岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」をデザインしたボールペンとシャープペンの複合筆記具を発売した。
少子化による市場の縮小に加え、万年筆を使う人自体が減っており、事業環境は厳しい。だが、高級腕時計と同様に、伝統と信頼に裏付けられた根強いファン層が需要を支える。国内の万年筆市場に占めるシェアは約25%で2位をキープし、中高級品が同社の得意分野だという。
蒔絵のシリーズや、初めて磁器を用いた有田焼のシリーズがあり、有田焼の万年筆は、2007年に発売され、翌年に開かれた主要8カ国(G8)洞爺湖サミットでは、記念品として各国首脳に贈られた。
百貨店などで、オリジナルインクをブレンドするイベント、インク工房を開くなど、万年筆へのこだわりはいつまでも変わらない。売上高に占める万年筆事業の割合は10%強だが、社名にも残る万年筆は、今も同社の屋台骨だ。(大塚昌吾)
「フジサンケイビジネスアイ」