ブイキューブ・間下直晃社長
■対面文化尊重 アジアでウェブ会議拡大
自社内で使うためにインターネット上のウェブ会議の仕組みを開発し、ノウハウを積み重ねて主力事業に育て上げたブイキューブ。2008年のリーマン・ショックを機にコスト節約の意識が強まる中、東日本大震災の際にも災害に強いことが評価され急成長した。国内市場では08年から4年連続トップを走る。間下直晃社長は、相手の顔を見ながら話す「フェースツーフェース」を大切にする文化をベースにアジア市場に切り込む。
--ウェブ会議サービスの特徴は
「ネット環境とパソコンやタブレット型多機能端末とウェブカメラがあれば顔を見ながら会議ができる。空港やホテルのラウンジ、タクシーの中などでもできる。テレビ会議システムのように、数百万から数千万円のコストはかからない」
--市場は拡大している
「リーマン・ショック以降、企業のコスト意識が強まった要因が非常に大きい。顔を合わさなくてもいい用件は意外と多く、出張の無駄に気づき、出張を止めたり、回数を半減させる会社も増えてきた。さらに感染力が強い病気のパンデミック(世界的大流行)が認識され、原油の高騰や大震災もあって、自宅でも働ける環境を企業が強く求めるようになった」
--大震災では
「固定電話や携帯電話が使えなくなった中で、ネットは問題なく使うことができた。無償で、被災地の企業400社以上にウェブ会議室のアカウントを貸し出した」
--国内で首位を走っている
「国内では首位だが、1万社も使っていない。数%程度の普及率に過ぎない。現状の市場規模は100億円弱だが、20年には1000億円を突破するという調査もある。北米ではすでに1000億円をはるかに超えている」
--アジア市場は
「日本も含めてアジアには、相手の顔を見て雰囲気を感じ取りたいという考えが根強くある。市場規模は20年に日本を抜き、通信回線事情も日本に追いついてくるとみている。日系企業は現地化が進んでいるため、主に現地企業を中心に営業していく。アジア太平洋市場では2位(11年、米調査会社フロスト&サリバン調べ)で、日本と並行して、アジア太平洋を制していきたい。人員規模も5年後をめどに2倍にしていく」
--米国企業の動向は
「もちろん米国も中国や東南アジアの市場を狙っている。ただ、米国ではテレビ会議システムもあるが、資料をみながら電話会議を行う方式が発展してきた。アジアのフェースツーフェースの文化は、営業面で強みになると考えている」(広瀬洋治)
【プロフィル】間下直晃
ました・なおあき 慶応大学大学院理工学研究科修了。在学中の1998年、WEBソリューションサービス事業を行なうブイキューブインターネット(現・ブイキューブ)を設立し、CEOに就任。本業をビジュアルコミュニケーション事業へ転換し、現在は活動拠点をシンガポールに移し、アジア中心にグローバル展開を進める。35歳。東京都出身。
【会社概要】ブイキューブ
▽本社=東京都目黒区上目黒2-1-1 中目黒GTタワー20階((電)03・5768・3111)
▽設立=1998年10月
▽資本金=4億円
▽従業員=180人
▽事業内容=ビジュアルコミュニケーションツールの企画・開発・販売・運用・保守、企業などへのビジュアルコミュニケーションサービスの提供
「フジサンケイビジネスアイ」