埼玉物産株式会社

ラーメン製麺は第2段階、ブランド確立急ぐ 埼玉物産・加藤康太社長の展望

埼玉物産がブランディング構築に乗り出した。2020年からホームページやロゴなどのリニューアルに着手、今年3月1日発売の袋麺「極太生ラーメン」から順次、表面にロゴを載せていく。16年3月に全量を収めていた大手製麺会社との取引が打ち切られ、売り上げゼロから再スタートを切ったが、新規顧客開拓が進み20年3月期に黒字転換。今期は新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要を受けて好調に推移。第2フェーズに入ったと判断、ブランディング戦略に注力する。加藤康太社長に展望などを聞いた。

null
埼玉物産の加藤康太社長

--なぜ取引先を失ったのか

「その会社とは1988年に商品売買基本契約を結び製造を受託、特殊な麺を提供する専用工場として100%頼っていた。しかし、その会社が買収されたことで経営方針が変更され、生産拠点の再編を打ち出した。当社に対しては売却するか取引を止めるかの判断を求めてきた。100%依存するので選択の余地はなかったが、社長に就任したばかりの私は『売るつもりはない』と断った」

--思い切った決断だが

「当社は大正元(1912)年、小麦の一大産地である埼玉で創業した。和麺(生うどん、生そば)づくりでスタートして以来、麺にこだわってきた。原料の小麦をしっかりと選んでおいしい麺をつくっていけばお客さまに支持され認められると自信があったので独立した」

--苦労したのでは

「7億円強の売り上げがゼロになり工場も動かなくなった。商品も売り先も商品開発のノウハウもなかったが、復活を信じてリストラを行わなかった。製麺技術には自信を持っていたので大手に対抗できる麺の開発に取り組んだ。埼玉縣信用金庫や原料メーカーなどが親身になって助けてくれた」

「専門店は小麦と塩、水のシンプルな麺づくりなので、『専門店の麺を家庭で』というコンセプトで売り出した。スーパーで売るため、大手より安い価格でそこそこの味を楽しめる麺を赤字覚悟で製品化した。当初は開発費や人件費が発生するので売り上げより赤字のほうが大きかったが、20年3月期に黒字転換した」

--そのときに打った手は

「和麺に強い工場で、和麺文化を伝えたかった。しかし時代の流れでラーメンが販売の9割を占めるのに生産ラインはラーメン・うどん用とそば専用で稼働率が低かった。そこで悩んだ末に20年3月、思い切ってうどん、そばの生産から撤退、生ラーメン専用に切り替えた。この選択と集中が収益改善につながった。独自ブランドも出したので、生ラーメン一筋で事業を展開する」

--コロナ禍の影響は

「巣ごもり需要が発生、麺の引き合いが増えた。大手製麺もつくり切れず、われわれに注文が殺到し他社の欠品を補った。このとき『埼玉物産は安定供給してくれるし、添加物も入っておらず安全・安心』と評価された。20年4月から21年1月までの売り上げは前年同期比で50%増加、今も維持している。顧客開拓も進め、売り上げは戻り、21年3月期は約7億円、来期も増収になりそうだ」

--増収を続けるためにもブランディングに乗り出す

「顧客に麺を届けることにがむしゃらに取り組んできた。今後はブランディング構築に力を注ぐ。袋麺の表にロゴがなく、お客さまは裏面を見て製麺会社を調べていた。ロゴを作成しホームページやカタログを作り直してブランドを確立、認知度を上げる」



【会社概要】埼玉物産
本社=埼玉県ふじみ野市福岡新田260-5
設立=1961年6月5日
資本金=1600万円
従業員数=70人
事業内容=麺類の製造・販売など


【プロフィル】加藤康太
かとう・こうた 中央学院大学商学部卒。2000年ムラサキスポーツ入社。08年9月埼玉物産入社、13年専務取締役、16年4月から現職。43歳。埼玉県出身


「フジサンケイビジネスアイ掲載」

【掲載企業】

埼玉物産株式会社

埼玉物産株式会社によるプレスリリース

おすすめコンテンツ

商品・サービスのビジネスデータベース

bizDB

あなたのビジネスを「円滑にする・強化する・飛躍させる」商品・サービスが見つかるコンテンツ

新聞社が教える

プレスリリースの書き方

記者はどのような視点でプレスリリースに目を通し、新聞に掲載するまでに至るのでしょうか? 新聞社の目線で、プレスリリースの書き方をお教えします。

広報機能を強化しませんか?

広報(Public Relations)とは?

広報は、企業と社会の良好な関係を築くための継続的なコミュニケーション活動です。広報の役割や位置づけ、広報部門の設置から強化まで、幅広く解説します。