インターナップ・ジャパンは、将来の業容拡大に向け採用と人材育成に力を入れる。求める人材像を明確化することでミスマッチを防ぐとともに採用までの期間を大幅短縮。また人材の早期戦力化を図るため昇進制度も充実させた。外国人採用に積極的な同社の奥野政樹代表取締役CEO(最高経営責任者)に狙いなどを聞いた。
奥野政樹CEO
--求める人材像とは
「当初依頼した人材紹介会社は日本語と英語を話せるバイリンガルを送り込んできたが、ミスマッチの連続でうまくいかなかった。そこで会社説明会を開くことに切り替え、そのときに欲しい人材として(1)最後までやり抜く(2)行動と経験を通して成長できる(3)困難を乗り切る自信と勇気をもつ-を掲げ、面談で確認して採用することにした」
--効果は
「2019年5月に最初の説明会を実施したところ、外国人1人を採用できた。それまで半年から1年ぐらいかかっていた採用までの期間が1カ月に短縮できた。辞めた従業員の補充を目的に中途採用を行っているので後任を早期に決めたい。説明会開催が有効と分かったので昨年9月、今年3月にも開催、内定を含め計5人の採用が決まった」
「求める人材像を明確化した上で、会社を全てオープン。オフィス見学のほか、模擬ネットワーク研修(寸劇)や社員とのディスカッションを行うので社内の雰囲気が分かり、一緒に働こうという仲間意識やモチベーションが高まるようだ」
--採用における新たな取り組みは
「人材紹介会社を通さないウェブマーケティングを展開していく。そのために採用条件しか開示していなかった人事・採用サイトを19年7月にリニューアル、スタッフインタビューを動画で配信(日本語と英語)し、キャリアパスも詳しく説明するようにした。人材紹介会社が登録している外国人にメールで知らせてサイトに誘導しているようだ。次の欠員補充時には人材紹介会社を使わず自社サイト単体での採用を目指す」
--今後の採用計画は
「現在の従業員は28人でこのうち外国人籍は10人。20年12月期は売り上げ10億円(前期比約10%増)を目指すが、その後も商品ポートフォリオの拡充などで顧客を増やしていくので、さらに3~5人は必要だ」
--人材育成については
「初級、中級、上級から管理職、マネジメントまで求める業務レベルを設定した。ビジネスマンとしての成長の礎として重視しているのが周囲との協働性とリーダーシップだ。初級者には『周りに面倒をかけまくってやり抜く』ことを、中級者には『迷惑を恐れずにやり抜く』ことを求めている。『聞くのが怖い』では課題を解決することはできないからだ。一方で、協調性は禁句だ。周りと調子を合わせて波風立てないようでは個人も企業も成長しない」
--そのために取り組んでいることは
「他部署のスタッフと協働を目的に年2回のカジュアル面談を始めた。その時々で当社が抱える課題からテーマを決め、所属部署が混在したメンバーを作り各チームでプレゼンや研修会を行う。これまでに『クラウド事業進出ケーススタディ』『電話対応研究会』『付き合いたい○○担当』などをテーマに開催した」
「これとは別に年2回、パフォーマンスを評価するフィードバック面談を行っている。評価よりもキャリアアップにつながるよう日頃抱える課題や悩みへの向きあい方、疑問やチャレンジしたいことなどをフランクに話し合っている」
【プロフィル】奥野政樹
おくの・まさき 早稲田大法学部卒。1988年日本電信電話(現NTT)入社。2003年インターナップ・ジャパン出向、06年代表執行役CEO、16年代表取締役CEO。55歳。東京都出身。
【会社概要】インターナップ・ジャパン
本社=東京都千代田区神田鍛冶町3-3-12神田鍛冶町千歳ビル7階
設立=2001年4月10日
資本金=1億円
従業員数=28人
事業内容=グローバルITネットワークサービス
「フジサンケイビジネスアイ掲載」