日本語研修を受ける外国人社員
人手不足などで外国人の活用ニーズが高まる中、ネットワーク関連サービスを提供する中小企業のインターナップ・ジャパン(東京都千代田区)は、人材の戦略化に向け日本語環境への適応を促す社内研修の取り組みを始めた。
「案の定は『意外』っていうこと?」「逆でしょ。『思った通り』という意味だよ」-。用意されたペーパーを読んだ外国人社員が日本語で質問すると、日本人上司がすかさず答えた。
インターナップ・ジャパンが始めた外国人社員向け日本語研修でのやりとりだ。研修は、「ビジネスに生かせる日本語を教えてほしいというが、まずはしっかりした日本語(聞く、話す、読む、書く)を覚えるほうが大事」という奥野政樹社長の考えで始めた。
昨年12月11日午後3時30分、本社会議室に4人の外国人が研修にやってきた。同社設立当時の様子をつづった木佐間之久男(奥野社長のペンネーム)著の本を順番に読みながら「ゴタゴタ? 聞いたことがない」「ヒシヒシって何」と尋ね、日本人が説明していた。同年10月入社のアルゼンチン出身男性、ミャンマー出身女性も参加したが、たどたどしさはあるものの日本語でしっかりと受け答えしていた。
これまでに使ったテキストは村上春樹「ノルウェイの森」、新海誠「彼女と彼女の猫」、福沢諭吉の生い立ちと功績など難しいものばかり。研修担当の中国人スタッフ、梁中石・事業戦略部事業推進担当は「日本語でやりとりするが、ディスカッションは盛り上がる」と話す。間を置かずに奥野社長が「話し出すと止まらない。社員の交流促進も狙いの一つなので盛りあがるということは(研修をやって)正解」と満足そうだ。
社員28人のうち実に13人が外国人。母国もさまざまでいろいろな言葉が飛び交うが、研修を通じて他部署の社員とのコミュニケーションが生まれ、多くの日本語に触れる機会が増えた。また日本語や日本文化への興味、知識が高まり、日本語を使う能力も向上しているという。
こうした効果を踏まえ、奥野社長は「漫画・アニメは卒業して本を読みなさい」と呼びかけ、きれいな日本語習得の研修を今後も継続する予定だ。
「フジサンケイビジネスアイ」