明倫国際法律事務所 田中雅敏代表
主に中小企業の経営課題に応えてきた明倫国際法律事務所は通常法務はもちろんのこと、知的財産や海外関連、M&A(企業の合併・買収)など特殊分野も的確かつ迅速に対応できるのが強みだ。なかでも力を注いでいるのが欧州連合(EU)の一般データ保護規制(GDPR)への対応。5月から「GDPR遵守支援サービスパッケージ」を試験的に販売しているが、手応えを感じており9月から本格展開に乗り出す。田中雅敏代表弁護士は「GDPRは事業規模に関係なく適応される。中小企業でも必要最低限の対応が求められるので、われわれがその受け皿になる」と意気込みを見せる。
GDPRとは
「EUの個人データ保護を目的とした管理規制。個人データをEU域外に持ち出すことを厳しく規制している。昨年5月から適用が始まり、GDPRの要求に違反すると2000万ユーロ(約23億4000万円)か、前会計期間の全世界での売上高の4%のうち、大きい方の金額を制裁金として課せられる可能性がある」
対象となる企業は
「EUに拠点を持っていなかったり、主なマーケットではなかったりする企業でも、EU居住者の個人情報を扱う場合には企業規模や業種にかかわらず適用されることがある。EU居住者が通販サイトや越境EC(電子商取引)などを使うと適用される。制裁金を求められた日本企業はまだないが、いずれ出てくるだろう。にもかかわらず現状では、大企業でも様子見が多く、中小企業はどうしたらいいのか分からずやりようがないといったところだ」
中小企業も対応が求められる
「概要をきちんと把握し、対策を講じておく必要がある。例えば、プライバシーノーティス(プライバシーポリシーや個人情報保護規定)はGDPRの要件を満たす内容に改定し英文で用意する必要がある。また、個人情報取得利用の明確な同意取得、社内・外部委託管理体制の整備などもポイントになる。このため、GDPR対応にそれほど大きな予算や人員を配分できないが対応は必要といった中小企業のために必要最低限の対策をパッケージにまとめた」
サービスの内容は
「GDPR順守体制構築支援の『導入段階(エントリーサポート、年100万円=税別)』、運営支援の『運用段階(メンテナンスサポート、42万円)』、さらにオプションとして対応支援の『事故対応(リスクコントロールサポート、1時間3万5000円)』の3つのステージごとに適切なサービスを提供する。5月にリリースし、既存顧客に紹介したところ10件強が売れた。ニーズがあると判断、9月から標準化して本格展開に移行する。GDPRではわれわれが中小企業の受け皿になる」
国際ネットワークが充実している
「国内3カ所(福岡、東京、名古屋)のほか、海外は中国・上海、香港、シンガポール、ベトナムにオフィスを構える。また世界35都市に密接な提携事務所からなるネットワークを構築している。GDPR対応のポイントの一つである現地代理人の設置にも提携事務所が対応してくれる。10月1日付でベトナムの現地法律事務所を買収する。上海を抜いて海外で最大規模になる。ベトナム進出やM&Aを考える日本企業のサービス向上につなげる」
【プロフィル】
田中雅敏 たなか・まさとし
1994年慶応大学総合政策学部卒。99年弁護士登録、2001年弁理士登録。10年明倫国際法律事務所を設立し代表弁護士。47歳。山口県出身。
【会社概要】
明倫国際法律事務所
▽本社=福岡市中央区天神1-9-17 天神ツインビル7階
▽設立=2010年1月1日
▽従業員数=40人(弁護士、パラリーガル、事務スタッフ含む)
▽事業内容=主に中小企業向けに海外展開や知的財産活用、経営スキーム相談、IPO支援など幅広い分野の専門的サービスを迅速に提供。
「フジサンケイビジネスアイ」