錠剤の表面に印刷する装置「タブレックス」シリーズ。医薬品業界の中長期的な設備投資ニーズを背景に輸出にも力を入れる
医薬品製造機器メーカーのフロイント産業は、錠剤の表面に印刷する装置の販売を強化する。高齢化に伴う医療費の拡大を抑制するため、「スイッチOTC(医療用医薬品から転用した一般用医薬品)」の活用が推進されていることが、中期的な設備投資への追い風となっているため。投薬ミスや薬の取り違えを防ぐ手段として、錠剤の表面に文字やマークを印刷するニーズに応える。最新製品は従来製品に比べて高精細印刷が可能になり、検査機能も搭載されたことで製品の精度が格段に向上した。年内に海外への販売にも乗り出す。
「タブレックス」シリーズの最新製品では、表面をコーティングしていない錠剤に印刷できるようになった。以前は技術的に難しいため刻印で対応していたが、見えにくく間違えて服用してしまうことがあった。また新しい方式の表裏同時印刷によって生産性が向上した。
医薬品に対する品質管理は厳しく、以前は印刷ずれがないかを目視で検査し、不良品を分別するという手間のかかる作業も行われていた。最新機種は検査機能も搭載していることから人手を経た工程が減り、最大で約1日分作業時間が短縮された。
欧州向けは、特殊な光をあてると浮かび上がってみえる不可視印字によって、偽薬流通に悩まされている現状を改善させると期待されている。
同社は錠剤の表面に薄い皮膜をコーティングする製薬装置で、国内トップのシェアを占める。タブレックスについて伏島巖社長は「国内では毎年10台ずつ安定的に販売していく。偽薬に悩まされている欧州市場向けの輸出にも期待したい」と話している。
同社はタブレックスシリーズに加え、医薬品分野以外のリチウムイオン電池製造装置などの販売に力を入れるほか、輸出を伸ばすことによって、2022年2月期には売上高は300億円、営業利益30億円と19年2月期見込みに比べ、いずれも約1.5倍に増やす方針だ。
【会社概要】
フロイント産業
▽本社=東京都新宿区西新宿6-25-13
▽設立=1964年4月
▽資本金=10億3560万円
▽従業員=238人 (2018年2月末時点)
▽売上高=200億円 (19年2月期予想)
▽事業内容=医薬品製造機器、産業用機器、医薬品添加剤などの製造販売
「フジサンケイビジネスアイ」