高齢者安全運転診断センターが発行する安全運転診断書
保険業務のアウトソーシングを手掛けるリムライン(東京都品川区)は、東京大学や神奈川大学と共同で一般社団法人「高齢者安全運転診断センター」を設立し、高齢者の運転特性を診断するサービスを今月から始めた。高齢者による事故が問題になる中、運転の様子を可視化することで、高齢者による自動車事故の削減につなげていく。
「高安診(こうあんしん)」と名付けられたこのサービスは、高齢者にドライブレコーダーを2週間貸与して車内に装着してもらい、運転の様子を録画してもらう。
同社にレコーダーを返却後、前方と室内の2つの映像と走行データを基に、「交差点で徐行ができているか」「バックの際に前後の確認をしたか」「歩行者などの横を通るときのスピードは適切か」など60項目を専門家がチェック。診断書と運転の様子を収めたDVDを作成し、運転上の注意点をアドバイスする。
診断にあたっては、東大大学院新領域創成科学研究科で、高齢者や身障者と社会との関わりをテーマに研究している小竹元基(しの・もとき)准教授、画像解析の技術に詳しい神奈川大工学部の久保登非常勤講師の知見を活用。
さらに全国各地の自動車教習所の協力を得て、延べ約100人に実際に公道を走ってもらい、判断となるデータを1年以上かけて集めた。価格は4万8600円。
同センターの石田浩専務理事は、「父に免許を返納させたら家に引きこもるようになり、認知症の症状が出るようになってしまった。高齢者にとって、運転することは社会との関わりを持つ上で欠かせないものとなっていることを改めて感じた」と話す。
足腰の自由がききにくい高齢者にとって、自家用車は通院や買い物には不可欠。免許を返納することをためらう高齢者も少なくないという。
いまのところ、診断サービスは東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県が対象だが、石田専務理事は「1年くらいのうちに、全国の教習所や保険代理店などを通じてサービスが提供できるようにしたい」と話している。
「フジサンケイビジネスアイ」