クックビズ・藪ノ賢次CEO
外食業界に特化した人材紹介を手掛けるクックビズが11月28日、東証マザーズ市場に上場した。賃金が安い外食業界に対して、大手人材紹介会社は報酬が少ないことを嫌って参入を敬遠しがちだが、クックビズは「フード(外食)産業を人気業種に」をモットーに、事務など間接部門の分業化を進めて効率化を図り、採算ベースに載せた。藪ノ賢次社長兼最高経営責任者(CEO)は「食先進国のフランスやスペイン、シンガポール、香港にも参入したい」と次の目標に海外進出を掲げる。
--会社設立の経緯は
「外食産業には十分な転職市場が構築されていないことに気付いた。クックビズがキャリアパスを根付かせて、フード産業もグローバル展開に必要な高度な経営人材の集客エンジンにしていきたい」
--事業の中身は
「3つの分野で構成しており、人材紹介サービスが売上高の65%、5年前に始めた求人広告事業は34%を占め、その他事業の収益化を急いでいる。人材紹介サービスは成功報酬型。この業界では当社が参入するまで、大きな規模で参入できるところがなかった。客単価が低いため客数を増やすことで採算を取る。一昨年ほど前から黒字化に成功した。求人広告業は掲載課金型。職人や調理師などが欲しがる情報を企業ごとに集めることで独自性の高い求人サイトを形成している。昨年1年間で1500万ページビュー。今後も検索エンジン最適化(SEO)を内製化して、企業や求職者のニーズに迅速に対応できるような仕組みを整えたい」
--強みは
「事務部門や求人営業では分業制を取っている。アシスタントを採用し、求人営業の担当者が不在時の対応も取っている。分業制にすると情報が寸断されるため、設立当時から対応履歴をすぐに確認できるようにしている。過去の求人案件のデータベース化を進め、コンサルタントの標準化も図っている。
--今後の成長戦略は
「調達資金は既存ビジネスの強化に充てる。人材サービスなので自社の採用に力を入れている。今後も人材採用や育成を強化して、東名阪以外の地方都市にも積極的に展開していく。さらに求人情報のデータベースの拡充で、案件登録数を増やすとともにマッチングの精度を上げていく」
【会社概要】クックビズ
▽本社=大阪市北区芝田2-7-18 オーエックス梅田ビル新館6階
▽設立=2007年12月
▽資本金=3億7334万9000円
▽従業員=164人(17年4月現在)
▽売上高=20億6500万円(17年11月期予測)
▽事業内容=フード関連業に特化した有料職業紹介事業、求人サイト運営事業、研修事業
【プロフィル】藪ノ賢次
やぶの・けんじ 大阪府立大工卒。2005年通信端末販売会社を起業。07年社内事業だったクックビズ事業を分離し独立、社長に就任。16年2月からCEO兼務。37歳。和歌山県出身。