ツナグ・ソリューションズ 米田光宏社長
従業員の離職や採用難によって廃業や清算に追い込まれる企業が急増するなど、人手不足の問題が深刻化している。とくにアルバイトやパートの採用難に悩まされているのが、小売業や外食などのサービス産業だ。6月30日に東証マザーズ市場に上場したツナグ・ソリューションズは、現在のように有効求人倍率が高く人手不足だった2007年に設立し、アルバイト・パートの採用コンサルティングに特化した事業を展開している。米田光宏社長は「アルバイト・パート採用市場のインフラ的存在」を目指す。
--アルバイト・パートの状況は
「国内で正規雇用が減少する中、右肩上がりで増加している。採用メディア市場をみても、転職情報誌が820億円であるのに対して、アルバイト・パート・派遣求人情報誌は2380億円と、約3倍の規模ではるかに大きい」
--なぜアルバイト・パート採用に特化したのか
「小売業や外食産業の現場の負荷を軽減するためだ。採用は、基本的に各店舗責任者である店長が行う。しかし慢性的な人手不足で応募の電話やメールに十分対応できず、現場の負担感は極めて大きい。このため受け付けから採用まで請け負っている。そうすることで店長は店舗での業務に集中できる」
--具体的な業務は
「採用に関して、募集から応募者対応まで一貫して支援しており、どの求人媒体に広告を掲載すれば費用対効果が高いかといった、求人方法の選定からはじめる。応募者からの電話、メールにはすべて対応し、採用後の研修プログラムの策定や実施も手がけている」
--他社と比べて優位性を発揮している部分は
「求人広告を掲載する場合、当社が一括して媒体を購入することによる価格交渉力を強みとし、広告予算を平均で2割削減したこともある。広告取扱件数は年間18万件に達し応募者も65万件を超えるので、それぞれのデータがビッグデータとして蓄積されている。このデータを有効活用して最も効果的な広告出稿のほか、採用効率を高めることに役立てている」
--上場の理由は
「ビジネスモデルの認知度を上げることが目的だ。得られた資金は人工知能(AI)などに投資することで生産性を向上させて利益をしっかり確保し、再び投資に結びつける」
--成長のイメージは
「20年を一つの節目としている。東京五輪・パラリンピックに向けて組織委員会は8万人のボランティアを採用する見込みだが、応募者は現在アルバイト・パートで生計を立てている人が中心になるだろう。これまでの採用実績とデータを持つ当社が関わることで、成長に弾みをつけたい。20年までに売上高を現在の約5倍の250億円に、営業利益率は4.5%から2桁に伸ばしたい」
【プロフィル】
米田光宏 よねだ・みつひろ
関西学院大経卒。1993年4月リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)入社。2007年2月ツナグ・ソリューションズを設立し、現職。47歳。大阪府出身。
【会社概要】ツナグ・ソリューションズ
▽本社=東京都有楽町1-1-3 東京宝塚ビル7階
▽設立=2007年2月
▽資本金=4億4454万円
▽従業員=280人(17年4月末時点)
▽売上高=50億8700万円(16年9月期)
▽事業内容=アルバイト・パートを中心とした採用コンサルティング
「フジサンケイビジネスアイ」