シャノン・中村健一郎社長
ウェブやSNS(会員制交流サイト)、スマートフォンなどの普及で、企業と見込み客との接点が年々複雑化してマーケティングが難しくなり、双方のコミュニケーションを一元管理するツールへのニーズが高まっている。マーケティングオートメーションを手掛けるシャノンは、高い技術力ときめ細かなサービス提供で効率的な販売促進を支援する。中村健一郎社長は「2018年ごろには成長著しい東南アジアに進出したい」と事業拡大に意欲を見せる。
--販促支援の方法は
「マーケティング業務を自動化・効率化するマーケティングオートメーションを用いる。展示会などで得た名刺の情報を元に、片っ端から電話をする非効率な方法を取る企業の営業担当者は少なくない。当社のマーケティングオートメーションは、名刺の宛先に自動的にセミナー案内や資料などをメール送信してコミュニケーションを取る。送付された相手がホームページを閲覧すると一定の条件下で、どこの情報を見たかを把握できる。価格表を見たとすれば、検討が進んで購入に強い意欲を持っていると推察、担当者に通知し、効率的な営業活動につながる仕組みだ」
--他社と比べての強みは
「会員管理、名刺管理、資料請求、問い合わせのほか、オンライン決済、アンケートなど、マーケティングに必要な700以上の機能が搭載されている。従来、各機能を個別に導入していたが、データの連携が難しかった。しかし当社では1つのプラットフォームに集約されているので、効果的に活用できる。導入している過半数が大企業で、市場調査によると7年連続でシェアトップを占めている」
--優れたツールでも使いこなすことは難しい
「企業のマーケティング課題の解決のため、コンサルティングなどの各種サービスをワンストップで提供している。新規顧客の獲得や既存客の流出防止などのために、メールの文面、ウェブサイト作成のほか、データ分析、業務代行などきめ細かく対応し、何を改善すべきかアドバイスする」
--業績の見通しは
「マーケティングオートメーション市場は年平均25%以上の成長が予測されている。当社も11年5月期の売上高5億4081万円から16年10月期の15億3416万円まで堅調に推移している。14年10月期は決算期変更で17カ月決算になったので飛び抜けているが、それを除けば右肩上がりだ。これからも市場環境に合わせて順調に伸ばしていく」
--今後の戦略は
「注目を集めているビッグデータやAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの研究を進めている。最も効果的なタイミングで、新機能として提供し、18年ごろをめどに、何を改善すればいいかを教えるAIを実用化する」
【プロフィル】
中村健一郎
なかむら・けんいちろう
慶大理工卒。在学中の2000年8月にシャノンを設立し、現職。39歳。奈良県出身。
【会社概要】
シャノン
▽本社=東京都港区三田3-13-16 三田43MTビル4階
▽設立=2000年8月
▽資本金=3億8373万円
▽従業員=125人(17年2月末時点)
▽売上高=17億8900万円(17年10月期予想)
▽事業内容=マーケティングクラウド提供、コンサルティング、アウトソーシングサービス
「フジサンケイビジネスアイ」