地域活性化へ支援強化
シェアリングエコノミー協会(東京都品川区)は、地域活性化への支援体制を強化する。その一環として2017年から地方自治体を対象に、eラーニングなどを活用した講座を開講する。具体的にはインターネットを介して場所や乗り物などを融通し合う、シェアリングエコノミーの有用性について、実例を交えながら提唱。空き家や空き店舗、子育て環境の未整備といった自治体が抱える諸問題の解決につなげていく。
シェアリングエコノミーを推進する地方自治体関係者ら=東京都千代田区
講座名は「シェアリングシティ・ラボ」。eラーニングと実際の授業を組み合わせ、雇用創出や社会福祉、公共交通、観光振興、災害対策などについて幅広く、地域運営にどのように生かすかを学ぶ。各地で実践したあと、成果を報告しあうことで質を高めるのと同時に情報を共有する。当面は5自治体向けに開催する。
シェアリングシティとは、シェアリングエコノミー事業者と連携し、地域課題の解決を図る自治体のことを指す。同協会によると、国内では18自治体がすでに取り組んでいるという。
例えば秋田県湯沢市では、子供の送迎や世話を頼り合う仕組みを活用し、子育て世代が住みやすい街を創造しようとしている。浜松市は4月から同協会の加盟社で空きスペースのマッチングサービスを行うスペースマーケット(東京都新宿区)に職員を出向させ、人材育成に力を入れている。
千葉市では市が発行する無料観光情報誌と、体験型観光情報サイトを連携。サイトに掲載される口コミ投稿をベースとした情報を市に提供し、観光プランの策定に役立てている。熊谷俊人市長は「われわれでは気がつかない地域の魅力を発掘してくれる」と語っている。一方、国内に散在する遊休資産やスキルなどを有効利用できることから、政府も検討会議を立ち上げて活用に向けて動き出している。
同協会の重松大輔代表理事(スペースマーケット社長)は「自治体による『公助』から地域で助け合う『共助』を進めるため、シェアリングエコノミーのノウハウ提供に力を入れたい」と意欲を示す。
シェアリングエコノミー協会は、シェアリングエコノミー事業を手掛ける企業125社で構成されている。
「フジサンケイビジネスアイ」