アプリで人材不足解消
介護人材紹介を手掛けるヘルスケアマーケット・ジャパン(横浜市南区)は、訪問介護員(ホームヘルパー)と複数の事業所の間をマッチングして、ヘルパー不足を解消させる。
従来、ヘルパーは各事業所が個別に募集していたが、複数の事業所の求人を仲介することで、自宅近くで働きたいなどといった求職者側の利便性を高め、短時間勤務やダブルワーク希望者を掘り起こす。横浜からサービスを開始し、順次全国主要都市へ展開する。
同社が開発したウェブマッチングアプリ「ユアマネージャー」は2日から正式サービスを開始。求職者に対して、人工知能(AI)が最も効率的で高収入になるような仕事を紹介する。希望の勤務場所、曜日、時間帯を入力すると、訪問ルートと想定収入の複数の組み合わせを表示する。
効率的にヘルパーと介護事業所をマッチングするウェブアプリ「ユアマネージャー」。条件に合う事業所が表示される
同一地域で複数の介護事業所とヘルパーをマッチングすることによって最も効率的な働き方を実現できる。求職者が気に入った組み合わせを選んで応募すると、同社のヒアリングと事業所での面接を経て採否が決まる。求職者は無料で利用でき、事業者は採用した介護ヘルパーが実際に働いた時間に応じて課金される。
事業所は、同一エリアに密集することで競争が過熱し、求人エリアが散在してしまう。このため求職者は自宅近くなど希望する場所で十分な仕事量を確保できずに移動や待ち時間が長くなり、仕事の時間が減ることで収入減になってしまう。
ユアマネージャーはこういった不満を解消できる。
これまで試験運用してきたがすでに成果は表われている。ある50代の看護助手は、週4日間病院で勤務し、うち午前中勤務の3日間は空いた午後の就労を希望していたが、都合のいいエリアと時間に仕事がなく転職を考えていた。しかしユアマネージャーで、自宅近くにある2カ所の訪問介護事業所での勤務を見つけ、転職を思いとどまりダブルワークを続けている。
厚生労働省によると、ヘルパーは全国に46万人、このうち非常勤は33万人に達する。非常勤ヘルパーは週20時間未満の勤務が43%で、短時間勤務希望の人が多く、効率良く働けるマッチングサイトへのニーズが高い。一方、経済産業省によると、介護職員は2035年に68万人が不足すると予測され、人材の確保とともに効率化が求められている。
坪井俊憲社長は「訪問介護の稼働率を2倍にする」と自社サービスでの介護環境改善を目指している。
「フジサンケイビジネスアイ」