「下町ボブスレー」平昌へ再始動 町工場がフェラーリやBMWに挑む

リオデジャネイロ五輪の興奮冷めやらぬ中、東京都大田区の町工場が中心となって国産のそりを開発する「下町ボブスレー」プロジェクトが、2018年開催の平昌冬季五輪に向けた動きを加速させている。7月には、ジャマイカ・ボブスレー連盟と2人乗りそり3台の無償提供について正式に調印。同下旬にはプロジェクトに参加する町工場で部品製作に入った。10月から順次納入する。


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旋盤を使ったボブスレーの足回り部品製作=東京都大田区(下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会提供)

バレーボールや卓球台など、リオ五輪では日本のものづくりにも注目が集まった。日本製のそりが五輪で活躍するのは初とみられ、プロジェクト推進委員会の國廣愛彦委員長は「世界に日本のものづくりをアピールする絶好の機会になる」と意気込む。

最小の空気抵抗

7月5日、ジャマイカの首都キングストンにある日本大使公邸での調印式には、プロジェクト推進委の細貝淳一ゼネラルマネジャーやジャマイカのスポーツ関係者らが出席した。そり3台に加え、ヘルメットやウエアも無償提供する。

提供するそりは「下町スペシャル」と「ジャマイカスペシャル」の2種類。下町スペシャルは開発してきた中で最も空気抵抗が小さい。そりの刃「ランナー」の平行度を保つ治具を下町で開発。個々の部品の低重心化と軽量化、小型化を徹底させ、全長を3メートル以内に抑える。

一方のジャマイカスペシャルは、現地技術者の設計やチーム要望などを反映させる。國廣委員長は「細かな点は守秘義務もあり、詳しく話はできない」としているが「最小の空気抵抗を」といった要望が出されたようだ。ジャマイカからの設計データが届き次第、製作に取りかかり、12月から17年1月にかけての納品を目指す。両モデルとも来季終了後に選手の意見などを聞きながら、平昌五輪に向けて改良を重ねる。

ジャマイカ向けとは別に、下町スペシャルは日本選手向けにも1台製作し、提供を目指す。日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟は昨年11月、平昌五輪はドイツ製に決めており、代表以外のチームへの採用を働きかける。

一品ものにかける

「氷上のF1」と呼ばれるボブスレーのそりは、欧州ではイタリアチームにフェラーリ、ドイツはBMWと各国を代表する自動車メーカーが製作する。

競技人口が数百人しかいない日本には国産のそりがなく、国際大会でも日本チームは欧米製の中古品を使ってきた。

「大田区の中小製造業は試作品など、いわゆる一品ものが得意。スポーツ用品ならそうした技が生かせる」(大田区産業振興協会)と11年秋に下町ボブスレープロジェクトが発足。13年10月には1号機が完成したものの、同連盟は翌11月にソチ五輪での採用を断念。その後も平昌五輪に照準を絞って開発を続けたが、15年10月、平昌での不採用を決めた。

失意のどん底に落とされた下町側に救いの手を差しのべたのがジャマイカだ。今年1月、長野市で下町のそりを試走したジャスミン・フェンレイター選手は「振動が非常に少なく、スムーズなコーナリングができる。ボブスレーの未来を感じる」と評価した。

ジャマイカチームも苦難の道を歩んできた。1988年のカルガリー五輪から5大会連続出場を果たしたが、2006年のトリノ、10年のバンクーバーは資金難で出場をあきらめた。

國廣委員長は「今まで多くの方々が平昌への道を築いてくれた。メダルを取ることで恩返ししたい」と語った。

ともに苦杯をなめた下町ボブスレーとジャマイカのチーム。平昌に向け、人とそりとが一体となった戦いが始まっている。

「フジサンケイビジネスアイ」

 
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