【“人”が変える地方創生】中小企業にプロ経営者を

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サーキュレーション 代表取締役 久保田雅俊氏

 私が経営する会社では「世界中の経験・知見が循環する社会の創造」というビジョンを掲げ、個人が複数の企業に同時参画して持てる力を生かすという「新しい働き方」を追求してきた。この活動は、異なる企業同士や産学などの連携で革新的なサービスを生む「オープン・イノベーション」にもつながっている。

 「新しい働き方」と「オープン・イノベーション」は、優秀な人材を東京から地方に展開し、中小企業に新たな活路を見いだしてもらう手法としても注目されるようになった。本連載では、今後の地方創生の鍵となるこの2つの潮流についてお伝えしたい。

 地方創生には、何よりもまず、中小企業支援が必要不可欠だ。日本の会社の99.7%は中小企業で、そのほとんどが家族経営。そこで課題となるのは「プロ経営者の不在」だ。「お金のことは銀行さんに」「税務のことは税理士さんに」といったパーツごとの外部パートナーはいるが、それらの情報を社内で掌握し判断できる人が、社長以外にいないのだ。

 実は私も、かつてこの問題に直面した。私の父は地元の静岡県で学習塾を経営し、一代で地域大手に育て上げた。しかし私が大学生の頃に病に倒れ、昏睡(こんすい)状態に陥ってしまう。父がいなければ金庫の暗証番号も、顧問税理士が誰なのかさえも分からない。家族や関係者との相談を重ね、会社を清算せざるを得ないという結論に至った。トップが欠けると、中小企業は見るも無残な状態になってしまうのだ。

 同じような課題を抱える会社は、日本中にたくさんあるはず。少子高齢化がさらに進むと、「後を託せる親族さえいない」という企業も増えていくのではないだろうか。

 一方で東京に目を移せば、大企業で役員クラスを務めた団塊世代の先達が、ビジネスの第一線から退いている。バブル期の繁栄を知り、その後の「失われた20年」を乗り越えてきた人たち。彼らの経験と知見を循環させ、地方の中小企業経営に生かしていくことを私は提案している。フルタイムは難しくても、「週1日だけ」「月に1回だけ」といった条件で応じてくれる方は多い。これなら複数の企業へ同時に関わることもできる。

 新しい働き方で団塊世代が活躍すれば、「プロ経営者の不在」という課題を解決できるチャンスも増えていくはずだ。

 時代をたどれば、戦後間もない頃、日本人の平均寿命は50代だった。それが今では80代。

 「人生の真ん中」は随分と変わってきている。

【プロフィル】
久保田雅俊 くぼた・まさとし
サーキュレーション代表取締役。1982年生まれ。総合人材サービス大手を経て2014年にサーキュレーションを設立。設立2年半で、国内最大規模となる1万人の独立専門家ネットワークを構築、経営支援実績1000件を突破。15年、高い志を持つベンチャー起業家に贈られる「北尾賞」を受賞。

「フジサンケイビジネスアイ」

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