創建(大阪市中央区)は、神社・仏閣向けの「木組み工法(伝統的木造軸組工法)」を活用した新築・建て替え事業を強化する。「石山神社」(札幌市南区)の建て替え工事が完成したのを機に、機械加工を取り入れた「プレカット木組み工法」による経済性を訴求した建築工事の営業活動を推進。神社・仏閣を年間10棟、一般住宅20棟の受注を目指す。
プレカット木組み工法で完成した石山神社=札幌市南区
文化庁によると、2015年3月時点の神社の数は8万1235社。老朽化した物件が少なくない中、建て替えはなかなか進まない。修繕工事は一般的に勧進(寄進)によって費用を捻出するが、十分に集まらないからだ。このため境内の一部をマンションなどに貸し出して、工面する神社も少なくない。
一方、施工面でも深刻な問題を抱えている。工事に携わる宮大工の後継者不足が深刻化しているからだ。
宮大工が一人前になるには20年という長い歳月を要するため養成が進まず、技術承継者は全国で約100人ともいわれる。職人不足から工期が長引きコスト増につながるため建て替えになかなか踏み切れない。
「フジサンケイビジネスアイ」こうした状況を踏まえ、創建グループはプレカット木組み工法の実用化を武器に、石山神社の受注にこぎつけた。
今回の事業を担ったのは「木の城たいせつ」(北海道栗山町)。木組み工法による高級注文住宅事業を展開するグループ会社で、1棟当たりの受注単価は3000万~1億円に達する。
石山神社の建築面積は約123平方メートル。宮大工を活用した本来の工法の場合、1億円の費用を必要とするが4000万円で請け負った。伝統的な継ぎ手や木造の結合部の加工を機械で行うプレカットの活用によって、低コスト化と工期短縮を可能にして、神社側の「9月の秋祭りに間に合わせたい」という要望にも応えることができた。
他社は、見積もり段階で4000万~8000万円の幅で提示したものの、面積不足や予算超過が相次いだ上、期限内での完成は不可能だった。
今後は神社・仏閣と、一般住宅だけではなく、茶室や平屋の離れなど趣のある特殊な工事も積極的に受注していく。創建の吉村孝文会長は「創建グループには、こうした高度な技術を持ち合わせた会社があるということをアピールして、一般住宅の受注も有利に進めていきたい」と話している。
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