池上通信機は、現在主流のフルハイビジョンに比べ4倍の解像度を誇る4K関連機器事業の強化に乗り出した。その一環として、使い慣れたHD(高解像度)カメラと同様の運用性で4K映像を制作できる次世代カメラ「UHK-430」を発売。国内の放送局だけでなく海外にも積極的に売り込んでいく。また、医療現場向けに4Kの高精細映像と色再現性を追求した高解像カメラも投入した。
UHK-430は、現行の放送現場で広く使われている撮像素子「3分の2型センサー」などが搭載され、既存のHDレンズが使用できる。
医療向けのカメラ「MKC-750UHD」。4K技術によって、より高度な手術を支援する
4Kは、視野角が広がることで「臨場感が高まる」(マーケティング本部の秋山浩志・副本部長)のが売り物の一つ。また、1画面で暗いところと明るいところを両立して表現できることから、サッカーのスタジアムなどでの中継に適している。このため、スポーツイベントの中継を効率的に行える周辺機器を拡充した。
海外での販売態勢も強化する。同社はもともと韓国の放送局でのシェアが高いため、2018年の平昌五輪に合わせて売り込みに力を入れる。また、将来的にワールドカップなどの大型イベント開催が予測される中東地域の放送局も、重要なターゲットとなる。
一方、手術室や外来の患者向けの手術顕微鏡システムや、手術を行う際に目で見える部分を指す「術野」システム用に開発したカメラ「MKC-750UHD」は、4Kの迫力ある映像と、実際に目で捉える色を忠実に再現した高色彩な映像を創り出す。色再現性については、医療現場で求められる赤の色再現性が優れている。運用面では操作性を重視。カメラヘッドもこれまでのHDカメラと同じ小型のサイズとし、従来と変わらないオペレーションで高精細な映像表現を実現している。
また、医療用映像システム用カメラ「MKC-704KHD」は、高感度と高画質を両立し豊かな映像表現が可能な機能を装備。眼科や外科をはじめとした現場に売り込む方針だ。