追客力・曽根田太郎社長
追客力(ついきゃくりょく)は不動産・住宅業界を対象に、自社のホームページ(HP)経由で商談や成約に至った顧客が、HPをどのように閲覧したのかを分析できるサービスを開始した。これによって各社は、効率的な顧客獲得につながるHPやカタログを作成できるようになる。曽根田太郎社長は「保険や中古車販売にも、このサービスを応用できるようにしていきたい」と語る。
--追客力のビジネスモデルは
「HPを通じ、不動産会社への問い合わせをいかに増やしていくか、といった支援サービスを親会社のマーサリーを通じて行っていた。新築の建売住宅を中心に実績を残したが、商談できる機会はなかなか増えず、100件の問い合わせがあれば約10件といった状況が続いていた。このためマーサリーが『商談数UPメール』というシステムを開発。追客力を設立し、本格的な歩留まりの向上に乗り出した」
--システムの概要は
「HPを通じて問い合わせした顧客が、どういった部分を吟味していたのかについて情報を自動的に収集し、不動産会社の営業に連絡を入れる。例えばある顧客が4600万円の物件を2分、ローン関連の情報を3分閲覧していれば、対象項目への関心が高い。これを踏まえ『当社はこの地域に強く、他にも同様の物件を用意できます』といった提案や、ローンの返済方法を示すなど具体的なアプローチを行える。結果として成約率が2倍になったケースもある。こうした中、ユーザーからは『商談や契約に至った顧客は、どういったページを読んでいたのかに興味がある』といった声が届くようになり、新サービスの実用化に至った」
--新たな機能の特徴は
「20人を1グループとして、どういったページを読んでいたのかについて傾向を把握できるようになった。これを踏まえ、施工事例を前面に打ち出すのではなく、商品カテゴリーのページを強調しようといったように、精緻な優先順位の設定が可能になる。これまでは営業マン向けだったが、新サービスはHPを管理する人を対象としている。間接部門を巻き込むことで、営業の高度化につながると確信している。初期費用は10万円で月額利用料は税別で8万円。初年度50社の利用を見込んでいる」
--今後の計画は
「当面は不動産業界にしぼって事業を展開するが、商談から成約までの歩留まりが低い保険業界に適用できるのでは。どういった保険を求めているのかが事前に把握できていれば、成約率の向上につながるからだ。中古車市場にもビジネスチャンスがあるのではとみている」(伊藤俊祐)
◇【プロフィル】曽根田太郎
そねだ・たろう 早大政経卒。会計系コンサルティング会社、大手不動産のポータル会社などを経て2013年マーサリー。15年4月から現職。35歳。東京都出身。
◇【会社概要】追客力
▽本社=東京都新宿区新宿2-8-17 SYビル3階
▽設立=2015年4月
▽事業内容=住宅営業のウェブ支援システム
「フジサンケイビジネスアイ」