すし職人を目指す外国人受講生=東京都新宿区の東京すしアカデミー
すし職人養成スクールを運営する東京すしアカデミーは、今月から外国人向けの新コースを開講した。2010年から本格的に外国人の受け入れを始めたが、受講生の希望の多い和食講座を加えて新プログラムを作成した。初めて外国人を受け入れた年の受講生は約10人だったが、14年には約40人と4倍に増えた。今年は新コース開設の効果で前年比75%増の約70人を計画している。
新コースの「オーセンテック寿司コース」は、実習中心の集中カリキュラムで一人前の職人を養成する「江戸前寿司ディプロマコース」(2カ月間40回)がベースになっている。包丁の使い方、握り方など、すし職人としての基本を学べる40回の講座に、野菜料理や焼き魚、丼物など海外で人気のある和食メニューを学ぶ4回のコースが加えられている。
海外ですしは日本料理の一部として、魚料理や丼物と一緒に日本食レストランのメニューに含まれていることが多いという。このため受講者からの日本料理を幅広く学びたいという要望にこたえた。
受講生は欧州出身が40%で、アジア出身が30%、残り30%が米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと世界中から集まっている。これまでに延べ25カ国・地域の100人以上が巣立っている。受講希望者の多くはすでに母国で料理人として活躍しているが、本格的なすしづくりを学ぶために来日する。今は英語のみだが、中国語での対応も検討している。
当初、外国人の受け入れは年2回にとどまっていたが、希望者の増加に伴い、14年には年3回に、新コース開講の今年は年6回にまで増やした。
海外の日本食レストランの日本料理は、国内とは異なる独自の現地化を遂げている。これに対し後藤幸子取締役は「教えるのは正統派のすし、和食が中心だが、カリフォルニアロールのような、海外での人気メニューにも取り組んでいく」と伝統を重視しつつも、現地化も柔軟に受け入れている。
海外進出にも積極的に乗り出している。12年には中国・広州に初の直営店をオープンした。13年にはシンガポール校を開校。14年にはフィリピンの料理学校と提携して、すしコースを実施した。今後も経済成長著しい東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に、スクールや店舗を展開していく。
後藤取締役は「アジアを足がかりに本格的な日本のすしを世界に広めたい。そのため外国人受講生をさらに増やしたい」と話している。(佐竹一秀)
【会社概要】東京すしアカデミー
▽本社=東京都新宿区西新宿8-2-5 新宿ウエストビル4階
▽設立=2002年2月
▽資本金=4000万円
▽従業員=42人
▽事業内容=すし職人養成スクールの運営、飲食店の経営など
「フジサンケイビジネスアイ」