起業家やベンチャー企業の支援活動を展開する、一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ(TEP)は、アジア各国のベンチャー企業支援者11人と連携して、日本主導のベンチャーネットワークを構築した。相互にサポートし合うことで、アジア全域で国境を越えたベンチャー支援活動を活発化させ、アジア発のグローバル企業の育成を推進していく。
TEPは、各国のベンチャー支援者から日本市場に関心のある企業を推薦されると、日本国内のベンチャーネットワークを紹介する。起業支援施設「KOIL(コイル)」と連携して、オフィスを1カ月間無料で貸し出すほか、滞在中はさまざまな助言やサポートを行う。
逆に日本企業がアジアに進出したい場合には、各国のベンチャー支援者から同様のサポートを受けることができる。
同プログラムに集まったのは日本のほか、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、中国、フィリピン、ベトナム、マレーシアの8カ国の大学やインキュベーション施設運営者、政府機関らのベンチャー支援者。日本からは東京大学の各務茂夫教授と、京都高度技術研究所の更田誠・新事業創出支援部次長が参加している。
TEPは2012年から「アジア・アントレプレナーシップ・アワード」として、アジアのベンチャー企業を対象としたビジネスコンテストを開いている。12年に千葉県知事賞を受賞した、タイのFlexoresearch(フレクソリサーチ)は、日本法人を立ち上げ、国内での事業開始に向けて準備をしている。こうした動きを受けて、さらにアジアとの連携を強化するために、ベンチャーネットを構築した。
一方、TEPはつくばエクスプレス沿線に集積する東大や筑波大学、産業技術総合研究所、国立がん研究センターなどの最先端技術を活用した連携を強化し、地域に根ざした創業支援の仕組みの構築を目指して発足した。これまでに電動二輪車メーカーのテラモーターズ(東京都渋谷区)や超小型衛星のアクセルスペース(同千代田区)など14社に経営支援や出資を行い、いずれも着々と存在感を高めている。
同プログラムは今後さらにインド、香港、台湾を加えたアジア12カ国・地域に広がる予定だ。各ベンチャー支援組織とのパートナーシップを拡大し、強化していくとともに、プログラムの拡充や共同イベントの開催などを計画している。
アジアでのベンチャーの成長を加速させ、将来的には欧米などにも拡大して全世界へネットワークを広げる。TEPは昨年ドイツ、オランダなどとの交流を実施しており、今後はアジアや欧州の各国大使館との連携も予定している。
TEPの松井健理事は「アジアからスムーズに世界へ羽ばたけるように、支援のネットワークをつくりたい」と意気込んでいる。(佐竹一秀)
【組織概要】TEP ▽所在地=千葉県柏市若柴178-4 柏の葉キャンパス148街区2 ショップ&オフィス棟6階KOILパーク ▽設立=2012年10月 ▽会員=220人・団体 ▽活動内容=つくばエクスプレス沿線地域を中心に、起業家・ベンチャー企業を支援