ライフエンディングステーション・工藤元社長
人生の最期を迎えるにあたって生前に準備を行う「終活」。介護や老人ホームのほか、自分の葬儀や墓地について考えたり、相続の計画、身辺整理などその領域は広い。高齢化も進んでいるため終活は約2兆円ともいわれる巨大市場となっている。終活関連事業を展開するライフエンディングステーションの工藤元社長は「これまでの慣習にとらわれず、自分らしく老後を過ごしたいというニーズに応えたい」と話す。
--どんなサービス内容か
「10月に『終活準備室』というサイトを立ち上げた。葬儀、相続、介護など生前の準備に取りかかっている人と、葬儀社、介護施設、保険会社、士業といった事業者を結びつけている。ウェブや電話で終活に関する疑問について質問すると、各事業者が相談員として回答する。相談は無料で年中無休24時間コールセンターが対応する。葬儀、相続、墓地だけでなく、旅行や生涯学習、老後の資金作り、バリアフリー化へのリフォームなどを取り扱う」
--葬儀については費用やサービス内容への透明化ニーズが高まっている
「10月に立ち上げたサイト『クリック葬儀』では、家族葬など葬儀の形式と地域を入力すると、条件に合ったプランが複数明示される。利用者は価格や詳細な内容を比較して、自分の希望に合った葬儀を選ぶことができる。遺体の搬送、葬儀式場の利用料金、火葬費用はもちろんのこと、一般的に追加費用が必要な物品やサービスもプラン内容に含まれている。最低限必要なものを厳選しているため、低価格で透明性の高い料金設定となっている。現在、関東の1都3県と関西の大阪、京都、滋賀の3府県の50社が登録している。年内に兵庫、愛知、福岡の各県などにも広げ、来年3月までに全国で300社の登録を目指す」
--どんな人を利用者として想定しているのか
「50~70代のインターネットを利用する人が中心だが、30代後半以降にエンディングノートを初めて書く人、老後の生活資金のための投資に関心のある人なども想定している。終活に関心を持つきっかけは人それぞれだが、男性は定年退職前後、女性は子供が手元から離れる頃が多いようだ。今後、パソコンやスマートフォンを現役時代に操作していた人たちの高齢化が進んでいくので利用者は増えていくだろう」
--今後の事業展開は
「ますます幅広くなるニーズに応えなければいけない。長く働きたい高齢者の再雇用、再就職のほか、老人犯罪、孤独死への対策、終末医療など。それぞれの問題解決に寄与する事業に関連したサイトを複数立ち上げる。今後成長していく有望な市場だが規制緩和もあって業界の参入障壁が低く、競争は激しくなるだろう。2015年3月期の売上高は5000万円を予想している。19年に20億円とし、上場を目指す」(佐竹一秀)
【プロフィル】工藤元
くどう・げん 早大院修了。1997年国内アパレルメーカー入社。2013年8月ライフエンディングステーションを設立。14年10月から現職。42歳。茨城県出身。
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【会社概要】
ライフエンディングステーション
▽本社=東京都新宿区西早稲田1-22-3 早稲田大学インキュベーションセンター内12室
▽設立=2013年8月
▽資本金=400万円
▽従業員=4人
▽売上高=5000万円(15年3月期予想)
▽事業内容=終活に関連する商品・サービスの企画開発など
「フジサンケイビジネスアイ」