ピーバンドットコム・田坂正樹社長
電子機器で使用されるプリント基板の製造をネット通販で手掛けるピーバンドットコム。設計、製造、電子部品を搭載する実装までをオンラインを通じて、ワンストップで請け負う。他社製品と比べて2割以下の低価格を実現するとともに、品質管理も徹底し、厳しいコスト削減が続く電機メーカーの需要を捉えて急成長している。田坂正樹社長は「モノづくりのための開発環境に、イノベーションを打ち出す」と意気込んでいる。
--なぜ低価格が実現できたのか
「従来は営業要員との打ち合わせが必要だったプリント基板の仕様決めや規格合わせを、見積もり取得から注文まで、オンラインで完結できるよう合理化した。自社で製造設備を持たず、世界中の工場と連携しているので、設備投資による減価償却や自然災害によるリスクもない。また独自の製造工法で初期費用を無料にしたので、大幅なコストダウンを実現できた」
--海外展開は
「日本でしか作れないような、高度な特殊仕様の基板で勝負する。海外製では価格競争になり、優位性が保てないからだ。国内での値段に、輸送費や関税などを上乗せした価格設定をする。台湾、中国、韓国、東南アジアのほか、北米、欧州、オセアニア向けを想定している。来年3月までには立ち上げるよう準備を進めている」
--独自のモノづくり支援をしている
「ハードウエアを、実用性や商品性に注目して表彰するモノ作り支援プログラムの『GUGEN(ぐげん)』を毎年開いている。表彰するだけでなく、文字通り具現化をサポートする。優秀な作品に対しては、ブラッシュアップするために当社が部品供給や資金援助をするほか、提携会社と組んで商品化、販売も支援する。GUGENを通じて、昨年から今年にかけて5社ほどが独立起業した」
--新規事業は
「今月から電子部品などを収納する外装である筐体の製造も請け負っている。以前から顧客の求めに応じて作っていたが、要望が多いために正式にサービスを開始した。また年内には3Dプリンターサービスを始める。造形はもちろんのこと、3Dプリンターに必要な3次元CADデータの製作も請け負う」
--今後の展開は
「現在の登録者数は3万2000人で、取引業者数は1万4000社だが、まだまだ拡大中だ。海外展開やGUGENによるベンチャー支援などによって2014年3月期の売上高15億円を19年3月期までに30億円に倍増させる」(佐竹一秀)
【プロフィル】田坂正樹
たさか・まさき 多摩大経営情報学部卒。1995年ミスミ入社。2000年ブレイク・フィールド設立に参画。02年4月インフロー(現ピーバンドットコム)を設立し社長就任。43歳。東京都出身。
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【会社概要】ピーバンドットコム
▽本社=東京都千代田区五番町14 国際中正会館10階
▽設立=2002年4月
▽資本金=3400万円
▽従業員=26人(14年9月1日時点)
▽売上高=15億円(14年3月期)
▽事業内容=プリント基板のネット通販サイトの運営など
『フジサンケイビジネスアイ』