リベント・三上力央社長
人生の節目を飾る冠婚葬祭。経済産業省の特定サービス産業実態調査によると、冠婚葬祭業の市場規模は2兆8000億円とされている。高齢化に伴って今後、市場はさらに拡大するとみられている。冠婚葬祭の企画運営を手掛けるリベントの三上力央社長は「誕生から亡くなるまでの生涯に関わるライフイベントを通じ、感動をつくる」と語る。
--結婚と葬儀を一緒に手掛けている
「人の一生に関わる一大イベントを通じて感動を届けたいという思いから、結婚から葬儀までワンストップで手掛けている。現在の事業内容は、結婚7、葬儀3の割合だが、他社にはない独自の葬儀が注目されている。葬儀は独特な業界で参入障壁が高いため、互助会以外の同業者で結婚と葬儀を両方手掛けている会社は多くない」
--花葬儀というブランドを掲げている
「祭壇には白い菊を使用することが多い。これは使い回しして利益率を上げることが目的で、葬儀社の都合に過ぎない。当社は必ず遺族に丁寧なヒアリングを行う。どんな人生を歩んできたか、どんな葬儀をつくりたいかなど、故人の思い出と遺族の思いを語ってもらう。場合によっては5時間に及ぶこともある。故人にふさわしい花で祭壇を飾り、遺族や参列者が感動できる葬儀を実現している」
--これまでどのような葬儀を演出したか
「夫婦で北海道を旅することを趣味にしていた故人には、定宿から温泉の湯を取り寄せて湯灌(ゆかん)に使った。故人が好きだったラベンダーの香りのアロマをたいたところ、参列者も喜んでくれた。また別の葬儀では出棺のとき、故人が好きだったアーティストの生演奏で送ったこともある。五感に訴える演出は利用者の97.3%が満足したという調査結果を得ている」
--海外進出は
「昨年6月にシンガポールから葬儀を依頼された。不動産会社の創業者が亡くなり、故人の息子が、映画『おくりびと』を見て日本の葬儀の素晴らしさに感動した、と電話をしてきた。現地に飛び、日本と同じように数時間にわたるヒアリングをして、プロフィルカードをつくり参列者に配った。遺族は大変感激してくれた。当社の葬儀は世界で通用すると思った。今後はアジア中心に海外進出を検討する」
--新規事業について
「ライフタイムイベントとして、結婚、葬儀以外にも広げていく。結婚式の顧客に対して、出産、入学、結婚記念日などのイベントで花を贈るフラワーギフトを定着させたい。今は1都3県だが、2年以内に関西のほか名古屋、札幌、仙台、福岡などの主要都市に、さらに5年以内に他の地方都市への進出も計画している。2014年12月期の売上高は10億円と予想し、17年には40億円、22年には100億円に伸ばしたい」(佐竹一秀)
【会社概要】リベント
▽本社=東京都港区南青山5-14-4 河合ビル3階
▽設立=2002年11月
▽資本金=1750万円
▽従業員=50人
▽売上高=5億5000万円(13年12月期)
▽事業内容=冠婚葬祭の企画運営
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【プロフィル】三上力央
みかみ・りきおう 国学院大経卒。PwCコンサルティング入社。2002年11月にリベントを設立し、社長。40歳。東京都出身。
「フジサンケイビジネスアイ」