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なぜ事業承継はうまくいかないのか?よくある失敗パターンと未然に防ぐための対策

#M&A・事業承継

なぜ事業承継はうまくいかないのか?よくある失敗パターンと未然に防ぐための対策
中小企業経営者の高齢化が進むなか、事業承継は急務となっています。しかし、実際には「誰に承継させるか決まらない」「準備が間に合わない」「引き継いだ側がうまく経営できない」など、事業承継がうまくいかないケースは少なくありません。本記事では、よくある失敗パターンとそれを防ぐための対策を解説します。

    よくある失敗パターン

    ●承継先が決まらない(後継者不在)
    ・親族に適任者がいない
    ・社内で経営者候補が育っていない
    ・M&Aの検討すら始めていない

    ●準備不足・時間切れ
    ・税務や法務の整理が進んでいない
    ・事業の見える化・マニュアル化がされていない
    ・経営権と資産の分離が未整理のまま

    ●経営者と後継者の意識のズレ
    ・経営理念や方針に対する考え方が一致しない
    ・現社長が口を出し続けて後継者が自立できない
    ・社内外の関係者に対しての引き継ぎが不十分

    ●社員・取引先の理解を得られない
    ・承継が進む過程で社内に不信感が生じる
    ・顧客や取引先との関係が希薄になる

    失敗を防ぐための対策

    ●早期スタートと計画的な準備
    事業承継は「準備に5年、実行に5年」と言われるほど時間がかかります。60歳を過ぎたら検討ではなく、50代から着手するのが理想です。

    ●経営の「見える化」
    業務フローや財務状況、意思決定プロセスを整理・文書化しておくことは、引き継ぎの精度とスピードを高める鍵です。

    ●後継者の育成と巻き込み
    計画的に業務を段階的に移し、後継者に経営経験を積ませます。形式だけでなく実質的に引き継げるよう、責任と権限も渡すことが必要です。

    ●社内外への周知と理解形成
    従業員や主要取引先に対して、タイミングを見て誠実に説明と対話を行うことで、心理的な抵抗を和らげ、協力を得られやすくなります。

    ケース別注意点(親族内・社内・M&A)

    事業承継のための準備チェックリスト 

    以下の項目に半分以上チェックがつかない場合は、対策が必要です。
    <チェック項目>
    □ 後継者の候補が決まっている
    □ 経営方針や理念を言語化している
    □ 自社株の保有・分散状況を把握している
    □ 財務・税務・契約書類が整理されている
    □ 後継者に業務を段階的に引き継いでいる
    □ 社内外への説明計画がある
    □ 顧問税理士・弁護士など専門家と連携している
    □ 万が一の時の対応(緊急時体制)がある

    まとめ

    事業承継は、単に「人を決める」だけでは終わりません。経営の魂や社内外の信頼をどう引き継ぐかが、成否を分けるカギです。先送りせず、今からできる準備を一歩ずつ始めておくことが、企業の未来を守ることにつながります。

    編集局の声

    事業承継の失敗は、企業の継続そのものに関わる重大なリスクです。「うちにはまだ早い」と感じる経営者こそ、いま一度足元を見直してみてください。自社に合った承継のカタチを見つけ、次の時代へしっかりとバトンをつなぎましょう。

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