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東京女子医大 災害時の遠隔手術で実証訓練 実用に手応え 

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東京女子医科大学は、NTTドコモの協力を得て、同社保有の5G通信機能を備えた移動型スマート治療室「モバイルSCOT」の災害時における活用を確認する実証訓練を実施(=写真)。将来の実用化に手応えを得た。今後も実証実験を重ねて、災害時の遠隔手術だけでなく、平時利用の可能性も検討していくという。

仮に首都圏直下型地震が発生すると、最悪の場合、死者は2万3000人に達すると想定されている。重症者への治療は一刻も早く施す必要があるが、現在の外科医は外傷手術そのものの件数減少もあって胸腹部の外傷手術の経験に乏しいのが現状という。

外科専門医でも対応しがたい外傷手術を、被災地域外から経験に長けた指導医がリアルタイムに指導できれば被災地内での緊急手術も可能になる。それを実現するのがモバイルSCOTというわけだ。

SCOT(Smart Cyber Operating Theater)とは、IoT(モノのインターネット)を活用して治療室内の様々な医療機器の情報を統合。医師やスタッフが手術の進行や患者の状況をリアルタイムで把握しながら治療を進められる治療室をいう。2019年に同大病院に設置され、臨床研究が始まった。

今回は20トントラックを使って移動式にし、10月21日に同大付属足立医療センターの総合防災訓練と連携して実施した。首都直下型地震に見舞われた病院を想定し、被災地に運び込んだモバイルSCOTが搭載する5G機能を駆使し遠隔で模擬手術を行った。

訓練は自宅内で被災し肝損傷した女性の手術を想定。①遠隔治療支援と②遠隔管理支援の2つのシナリオをもとに実施。①では回線を八千代医療センターと接続。指導医の支持を受けながら麻酔科医による挿管や手術準備、術者2人による執刀と閉腹を行った。

続く②では車内レイアウトを変更してICU(集中治療室)と見立て、回線を同大病院につないで術後管理の指導を受けた。僻地治療に興味があって見学に来た医学部6学生は「災害時だけでなく、平時にも力を発揮できるのがモバイルSCOTの魅力だと思う。僻地にも派遣すれば医師不足や地域間偏在の解決につながる」と語った。

同大先端生命医科学研究所の吉光喜太郎特任講師は「モバイルSCOTは将来の実用に向けてポテンシャルがあると分かった」と指摘。その上で「現場と遠隔地が距離を感じない臨場感を実現することが通信面の課題。研究面では移動式に伴う小型化、ハイテク化、無線化が重要」と話した。

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