SOMPOとRIZAP、健康寿命延伸で資本業務提携
高齢化の進展で健康寿命の延伸に関心が高まる中、SOMPOホールディングス(HD)とRIZAPグループは双方の顧客基盤を連携させ、健康づくりや事故防止、病気の予防・未病につながる新たなサービスを開発していく。
両社トップは7月1日に記者会見し、6月に資本業務提携した狙いや今後の戦略を発表した(写真)。SOMPOHDの奥村幹夫社長兼グループCEO(最高経営責任者)は「日本は世界に誇る豊かな長寿国だが、高齢化への不安が大きくなっている。高齢化をポジティブにとらえる社会を目指したい」と話した。RIZAPグループの瀬戸健社長は「運動を生活の一部とし、身体的健康だけでなく、精神的にも社会的にも満たす。協業で新しい価値創造に取り組む」と強調した。
SOMPOHDは損害保険や生命保険、介護事業などを手掛け、国内に約2500万人の顧客基盤をもつ。フィットネスを展開するRIZAPグループはパーソナルトレーニングジム「RIZAP」、24時間営業の小型無人ジム「chocoZAP(チョコザップ)」などの事業を運営。2022年7月にスタートしたチョコザップは全国に1500店舗、会員は120万人を超える。
両社は6月、ともに掲げる「誰もがウエルビーイングを実感できる社会の実現」に向け資本業務提携を締結。SOMPOHDはRIZAPグループとその子会社に対し総額約300億円を出資し、子会社を持ち分法適用会社とする。中期経営計画で立ち上げたウエルビーイング事業の「つなぐ・つながる」戦略の実現加速において足りない部分をRIZAPグループのサービスで埋める考えだ、一方でRIZAPグループの成長戦略を後押しし、同社の企業価値向上による投資回収や、健康寿命の延伸による保険事業の収益拡大を図る。
一方のRIZAPグループはぜい弱な財務基盤を立て直すとともに、チョコザップを「健康の社会インフラ」として進化させる。こうして「難しい、きつい、大変」な運動を日常の生活の一部に変え、健康寿命の延伸に貢献する。
その一環としてSOMPOHDの介護事業を担うSOMPOケアの介護施設とチョコザップを連携させ、新たな介護を提案する。瀬戸氏は「チョコザップではカラオケやネイルなどのサービスを提供しており、介護施設利用者も使えるようにすることで外出機会が増えれば、活動的になり、毎日楽しく前向きに暮らせるようになる」と説明。高齢者の心身の健康改善に向けたサービス提供で要介護度の進行抑制につなげる。
利用を促すため介護施設からチョコザップへの移動には送迎用バス「チョコバス」の運用や、トレーナーの介護施設への派遣なども検討する。加えて介護施設利用者だけでなく、その家族や介護施設の職員がチョコザップを利用できるようにする。7月から具体的な内容の検討を始める。
一方、奥村氏は「定年後に健康診断や福利厚生を利用できなくなることで、多くの人が要介護予備軍になる可能性がある」と指摘。そうならないようにチョコザップの利用を促し、日々の運動を後押しし健康の維持・改善をサポートする。
このように双方の顧客が他方のサービスを利用しやすい環境を整備。健康に関するデータを取得・蓄積することで新たな商品・サービスを開発。人の一生に寄り添い、ウエルビーイングを実感できるトータルソリューションを提供する。
人材交流も進める。積極的な相互出向により提携効果を最大化する。SOMPOHDからファイナンスのほか、リスクマネジメントや内部統制でノウハウや知見・経験を持つ人材を2桁規模で送り込む。これにより、SOMPOHDはRIZAPグループがもつスピードとチャンレンジな企業文化を取り入れる考えだ。