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株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役社長   増田 知平

月極駐車場のDX推進、MaaS対応にも挑戦

月極駐車場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んでいる。牽引するのが「国内最大の月極駐車場DX推進企業」を標榜するハッチ・ワークだ。駐車場を管理する不動産会社の業務効率化と借り主の利便性向上に貢献するだけでなく、次世代移動サービスのMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)をにらんだ月極駐車場の利活用に挑む。増田知平社長に現状と展望を聞いた。

――月極駐車場の現状と課題とは
不動産業界でもデジタル化は加速しているものの、月極駐車場の集客方法といえば現地の看板による集客に依存する。このため、ユーザーが借りたい駐車場を見つけるには、例えば自宅周辺を歩いて探し電話で問い合わせ、不動産会社に行って相談する。ユーザーは希望に合う駐車場をインターネット検索で気軽に見つけられない。また、申し込みから契約まで対面形式で行うのが一般的で、著名・押印が必要だ。煩雑で手間がかかることが負担になっていた。不動産会社にとっても管理業務の負荷は高く、その割に収益は低い。看板に頼る営業なので集客力の向上も課題だった。
――こうした課題にどう対応したのか
月極駐車場検索サイト『アットパーキング』を軸に、不動産会社向け月極駐車場オンライン管理システム『アットパーキングクラウド』を提供。管理業務を最大95%削減しながら、圧倒的な集客力で稼働率を向上させることができる。アットパーキングや大手住宅情報サイトを通じた募集による集客支援のほか、オンライン上で申し込みから審査、契約手続き、決済まで最短30分で完結できる。満車の場合、空き待ち予約ができるシステム『アキマチ』が利用できる。滞納保証にも対応できる。
――不動産会社や借り主の評価は
日本マーケティングリサーチ機構の調べでは、2021年7月期でオンライン契約可能駐車場数(20万台分)、オンライン契約者数(8万人)、累計空き待ち予約利用者数(1万5000人)の『3冠』を達成した。借り主、不動社会社の双方から支持されていることが分かる。現在は賃貸管理系や電鉄系、コインパーキング系、住宅開発系など全国展開する大手から地域密着系まで数百社にサービスを提供している。
――支持が広がる中、新たな動きはあるのか
青山商事は、運営する紳士服専門店『洋服の青山』の店舗駐車場を月極駐車場として展開するにあたり、アットパーキングクラウドを採用した。郊外やロードサイドの店舗の近くには工場やディーラーも多く月極駐車場として利用したい人もいるからだ。利用が少ない店舗駐車場の有効活用にもなる。稼働率を改善すれば、それだけ集客にもつながる。21年9月の当初は試験的に50台でスタートしたが、現在は500台規模まで増やしており、好評なことから『全国展開を目指す』という。
――こうした動きは広がりそうか
興味を持つ企業は少なくなく、相談や問い合わせが増えている。倉庫業者や大手ホテルのほか、稼働率が低い屋上駐車場を有効活用したい商業施設などが狙い目だ。平日のみとか期間限定での活用も考えられる。
――月極駐車場のDXは時代の流れといえるのか
オンラインで完結できない不動社会社は依然として多い。オンライン対応の不動産会社は肌感覚だが1%にすぎないのではいか。若者の車離れといわれるが、保有台数は減っていない。ネットで検索する件数も増えており、看板を見て連絡するユーザーへの対応は待ったなしといえる。全国の月極駐車場台数は3000万台超と推計されるが、月極駐車場を運営する上場企業の扱い台数は全体の0.6%に過ぎない。我々にとって市場開拓の余地は大きいわけで、月極駐車場はネット契約が当たり前の時代になる。不動社業界の認知も進むはずだ。
――今後の展開は
DX推進によって新たな価値創造に挑む。日本の人口は減るので車保有台数も減る。このため駐車場以外の可能性を探る必要がある。月極駐車場は住宅地周辺に多いという性質から、そのスペースを利活用することで人々の暮らしや移動を豊かにする可能性を持っている。電気自動車(EV)の普及に不可欠なEV充電機の設置のほか、シェアリングカーの乗り捨て場所として活用すれば使い勝手は良くなる。ショップカーやモバイルオフィスが集まるステーションにもなれる。
――注目されるMaaSへの対応ということか
このように月極駐車場はあらゆるサービスの社会インフラになれる。そのために22年1月、ENEOSイノーベーションパートナーズ、マーキュリアインベストメントなどを引受先とした第三者割当増資を実施して総額6億円を調達した。アットパーキングクラウドの全国拡大に向けた新サービス設計やシステム開発への投資を強化する。またMsaS時代を見据えた研究開発を開始する。
増田 知平(ますだ・ともへい)
株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役社長

経営学修士(MBA)
日本大学 法学部卒
青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科修了
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
株式会社グラントコーポレーション を経て
株式会社ハッチ・ワーク 代表取締役社長

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