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辻下マネジメントコンサルティング 代表   辻下 敏夫

中小・ベンチャーの強みを探し、生かす支援 学び直しで必要とされるコンサルに

主に中小・ベンチャー企業の支援業務を手掛ける辻下マネジメントコンサルティング。代表の辻下敏夫氏は大企業やベンチャーでの経験を活かし、「経営をマネジメントすると共に人生もマネジメントする」という理念のもとで企業の強みを生かす支援を得意とする。

――2010年の創業から12年が経過した
36年間の会社時代を終えて独立し、公的補助金制度の活用と申請支援業務、事業戦略・計画の策定、知的財産管理などで中小・ベンチャーの成長支援に取り組んできた。公的支援機関や金融機関などからの依頼を受けて調査・指導を行ったり、中小・ベンチャーから直接、顧問への就任を求められて伴走型支援に乗り出したりして面倒を見てきた。当初は中小・ベンチャーとの面識が全くないため、公的支援機関に登録して紹介されながら信頼を得ていった。
――公的支援機関を通じた指導実績は
当初は横浜企業経営支援財団で、横浜ものづくり専門コーディネーターとして、ものづくり補助金の申請指導、大手企業・大学と中小企業のマッチングなどに取り組んだ。このほかにも、全国中小企業団体中央会では連携支援部主任研究員、横浜市経済局では横浜知財みらい起業支援事業認定の評価委委員などを務めた。公的支援機関経由の場合、企業経営者も安心してオープンに話してくれる。入り口は公的支援機関を活用、紹介されると決算書や社長の人柄を見ながら親密な関係を築いていく。この延長線上として、『スポットではなく、引き続き見てほしい』といった声をもらい顧問契約を結ぶこともあった。公的支援機関から企業の顧問につながった感じだ。顧問になると『補助金を使いたい』という話も出てくる。
――新型コロナウイルス禍で傷んだ企業を救済するため国も補助金制度を拡充した
補助金は桁違いに増えた。政府は緊急事態宣言を発し人流を止めた。営業自粛に追い込まれた飲食・サービス業を中心に多くの企業が事業再構築補助金、ものづくり補助金の申請に動いた。我々も申請支援で手伝った。21年は事業再構築補助金で6件、ものづくり補助金で3件が採択された。これを機に従来のビジネスモデルを切り替え、儲かる企業体質に改めてほしい。
――補助金に頼ってしまい、本来なら市場から撤退すべき企業も生き残ってしまう弊害も出てくるのでは
我々は『事業継続は無理だ』とはいわない。止める前に、どうしたら経営がよくなるか、企業体質を強化できるかを考えるのが我々の仕事だ。創業から10年、20年が経ち、その間に人生もかけてきた。雇用を守る必要もある。これまで事業を継続できたのは必要とされている強みがあるからに違いない。その強みを伸ばすというのが我々の支援スタンスだ。
――後継者問題については
第二次大戦後に創業した企業の経営者は70歳前後を迎えており、息切れしつつあるのは確かだ。リタイアしたいが、とはいえ会社をたたむのはつらい。子供に譲れば事業承継が可能だが、子供にその気がない。ある横浜の会社は息子に継ぐ意思はなく、ナンバー2への事業承継を考えて、彼が苦手とするマネジメントなどの指導を我々に求めてきた。一方で、買い手企業も探している。そのためには強みを可視化する必要があり、事業性の評価などの支援にも取り組んでいる。
――M&A(企業の合併・買収)は事業承継に欠かせない手段といえる
潜在的にM&Aニーズはある。今なのか将来なのかという時間軸の問題はあるが、準備しておくべきだ。売り手だけでなく、買い手もいる。新たなビジネス創出のため、生産設備や人材など経営資源をそのまま活用できるM&Aは経営戦略上欠かせないツールだ。まだ掘り起こされておらず、我々にとって売りと買いの両方でチャンス到来といえる。
――多くの資格を保有している
中小企業診断士は30代のときの1987年に登録した。日本経済を支える中小企業の役に立ちたいと思ったからだ。しかし、資格を取ったからといって通じるものではない。うまくいかないのは何かが足りないからで、それ以来、学び直しが続いている。知財管理に必要と考え2013年に知的財産管理技能士とAIPE(知的財産教育協会)公認知的財産アナリストを、16年には補助金申請などが行える認定経営革新等支援機関に認定された。支援業務に生かすためで、必要に迫られて取得しているともいえる。ただ、それだけ顧客の課題解決に近づくので、学び直しに終わりはない。
――ところで、独立する前の会社時代をどう過ごしたのか
新卒で入社した富士通でシステムエンジニアとしてものづくりを学び、ベンチャー企業を起こした。その後、CSKで経営企画を任され、最後に三菱商事では情報通信分野で新事業開発に取り組んだ。広い技術分野での経験と、多種多様な業界でのビジネス経験・ノウハウが今に生きている。
――今後の展開は
中小・ベンチャーを支援するコンサルタントとして、携わった企業のビジネスを見直して高付加価値の事業領域に移行する手伝いを行っていきたい。ITが得意なのでDX(デジタルトランスフォーメーション)化で企業を変えたい。DXでビジネスモデルを再構築して強い企業づくりに貢献していく。今がまさに中小・ベンチャーを変えるチャンスだ。また独立を目指す人も増えており、起業支援にも力を入れる。50~70代も意欲的で後輩から相談も受ける。独立して10年強の経験を生かし、伴走するし一緒に動く。とはいえ、人生100年時代。仕事もそれ以外もやりたいことをやればいい。だから『経営をマネジメントすると共に人生もマネジメントする』わけだ。仕事と家族とのバランスなどが大事になる。動かなくなるのが最悪であり、社会や仲間への役立ちと貢献が重要になる。
辻下 敏夫(つじした・としお)
辻下マネジメントコンサルティング 代表
富士通、ベンチャー起業、SCSKを経て三菱商事(情報産業分野)に20年間勤務。
IT・ネットメディア分野において、新規事業に関する企画立案・立上げ等事業開発に従事し、その後、2010年4月、辻下マネジメントコンサルティング設立し、代表を務める。
韓国技術ベンチャー財団公認コーディネーター、横浜ものづくり専門コーディネーター、 2016年年関東経済産業局 経営革新等支援機関に認定、中小企業診断士、知財アナリスト

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