株式会社SOBAプロジェクト 代表取締役社長   乾 和志

ビジュアルコミュニケーションツールやオンラインマッチングシステムを提供

コロナ禍でWeb会議システム業界はコモディティ化が進んでいると言われている。同社はWeb会議システムに限らず映像や音声など、それぞれの機能をパーツ化し、組み合わせることで独自のビジュアルコミュニケーションツールを低コストで開発できることを特徴としている。さらに、同社のオンラインマッチングシステムには膨大な業務ノウハウが蓄積されつつあり、今後、同社の独自の強みとして最も注目すべき分野だ。各々の業界に特化したビジュアルコミュニケーションツールを提供することで差別化をしていきたいと語る株式会社SOBAプロジェクト・代表乾和志氏に聞いた。

一から作るよりも、安く、早く作ることができる上、機能が安定しているという利点を持つ

――御社のWeb会議システムはどのような特長がありますか?
Zoomに代表されるようにWeb会議システムはコモディティ化が進んでいると思います。他方、一から作ります、というWeb会議システムを提供するベンダーはたくさんありますが、決してハードルは低くないため、コストも割高になります。
当社のWeb会議システムは単なるテレビ会議システムではなく、お客様のご要望に合わせ、様々なパーツを組み合わせて作ることが可能です。映像や音声の双方向通信機能や資料共有機能、チャット機能等をパーツ化していて、開発コストを抑えられることが特長です。数多くのパーツを組み合わせて提案できるため、一から作るよりも、安く、早く作ることができる上、機能が安定しているという利点があります。
――どのような経緯でこのような技術が生まれたのですか?
当社の前身となったプロジェクト事業は、私が大手メーカーの研究部門に所属していた2002年から参加した産官学プロジェクトで、2004年度までの3年間にわたってビジュアルコミュニケーションの技術開発に取り組んできました。元々は、新たなネットワーク社会の到来を予見し、次世代のネットワーク環境を有効に活用する新たなソフトウェア基盤技術を確立するため、産学体制で発足した取り組みです。
当時の取り組みを通して、独自の技術とノウハウが蓄積できました。事業化したいという意向はこの研究時代からあり、2004年の研究プロジェクト終了までにはすでにビジネスの準備をはじめていました。
――事業を起ち上げるにあたって苦労した点はありますか?
研究時代から事業を真剣にやりたいと思っていました。真剣に起業をしようと社内を説得しましたが、当時勤務していた会社は組織が大きく、なかなか了承を得られませんでした。 説得が実り、何とか起業することはできたのですが、その後は資金調達に翻弄し、ベンチャーキャピタルなどを回る日々でした。
2006年12月に自社独自のWeb会議サービスをスタートしました。Web会議サービスの提供を開始する前までは受託開発を行い、事業を継続してきました。一貫してWeb会議サービスと受託開発の2つが事業の柱です。

Web会議システムのコモディティ化で、独自のシステムを作りたいという問い合わせが増えた

――最近の導入事例にはどのようなものがありますか?
最近では声優の専門学校への導入事例があります。授業でやりとりするコミュニケーションだけでなく、Webサイトで学生が入学の申し込みを行い、授業料を払い、授業の予約をする仕組み全体を作っています。
この仕組みづくりを通して、ビジュアルコミュニケーションの機能にとどまらず、ユーザーアカウントの管理機能から決済機能までのプロセスを一つのパッケージとして、当社が他のクライアントに提案し易くなる契機になったと思います。
――新型コロナウイルスの影響の影響はありますか?
在宅勤務でZoomなどのWeb会議システムが主流となる一方、自社独自のWeb会議システムを作りたいというニーズも生まれました。Web会議に限らず、様々な独自のビジュアルコミュニケーションツールの要望が増えたことにより問合せが増え、業績は好調に推移しています。

オンラインマッチングシステムでは、業務ノウハウも蓄積され、ノウハウの塊になりつつある

――最近の導入事例で、御社の技術が活かされた例があれば教えてください
個別指導塾のオンライン授業システムが挙げられます。オンライン授業では、一定の割合で開始時間になっても生徒が現れないことや先生が現れないことが起こり得ます。
そうした授業を受ける側の生徒が講座直前にトラブルが起こり欠席した場合は生徒側から授業料を徴収するかどうか、教える側の先生が現れない場合はどうケアするかなど、授業を受ける側と教える側の双方の立場からみたトラブルを予め想定し、ルールを設けた上で機能を実装しています。
授業のキャンセルと例に挙げると、生徒が授業開始前に手続きをすれば欠席として認められます。反対に開始時刻を過ぎてからのキャンセルは、手続きされた時刻までは出席扱いとなり、自動課金される仕組みになっており、分単位での課金計算が行われます。
このようなオンラインでマッチングを行うような業務においてのトラブルポイントや必要となるルール設定など、膨大な業務ノウハウが蓄積され、ノウハウの塊となりつつあります。
――今後、注力していきたい分野はありますか?
例で挙げたオンラインマッチングで蓄積したノウハウを整理して、活用方法をご提案できるよう準備しており、Web上でもアピールしていきたいと思っています。
その他には、演劇のコンテンツをライブ配信する仕組みづくりに取り組んでいます。リアル配信とオンデマンド配信の両方の機能を持ったビジュアルコミュニケーションツールで、テレビ番組に例えると同じチャンネルで観る生放送と録画放送です。ライブ配信とオンデマンド配信の両機能を同時に提供できる仕組みを他の業界や他の使い方に応用した独自のシステムを展開して、さらに事業を伸ばしていきたいです。
乾 和志(いぬい・かずし)
広島大学 卒業後、立石電機株式会社(現 オムロン株式会社)入社。オペレーティングシステムの研究などを経て、産官学共同プロジェクト「SOBAプロジェクト」開始。株式会社SOBAプロジェクトを創業し、その後 代表取締役に就任。

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