インテージ・石塚純晃社長
国内最大手のマーケティングリサーチ企業であるインテージグループは、2013年10月、インテージホールディングスを持ち株会社として新たな体制に移行した。この体制のもと、中核事業を担うインテージの新社長に就任した石塚純晃氏は「スマートフォン(高機能携帯電話)に代表される情報化の波が急激に押し寄せており、事業の変革を目の当たりにしている」とした上で、「きちんとした経営のかじ取りを行い、世の中全体を活気づかせたい」と意欲を示す。
--インテージの事業の持ち味は
「パネルリサーチという手法を導入している。具体的には、どのようなテレビを視聴しているのかといった情報や、パソコン、スマホの利用状況を特定の対象者から継続的に入手。その上で、消費行動との関係性や個々の広告の効果などを解明している」
--スマホの普及は著しいが、この動きにはどういった形で対応しているのか
「NTTドコモと合弁会社を設立し、生活者パネルというサービスを試験的に展開している。感動したことや食事の内容などの情報を収集。生活のエピソードを読み解き、協力者に有効な情報を提供する。スマホの利点はリアルな状況を把握できる点。例えば『今日のスイーツはおいしかった』という感想であったら、一緒に送られた画像を通じ、どのような雰囲気なのかもリアルにとらえることができる。情報の提供者である企業が打つ手も一段と早くなるのかなという感じがする」
--こうした手法が成熟していくと、企業の物の売り方や宣伝の仕方は、どのように変わっていくのか
「これまではテレビを通じて大量の広告を流すことで、購買活動につなげていた。今後は、感度が高くて幅広い商品知識を持ち、他者への強い発信力を備えた人に情報を投げかけるようになる。一方で、店舗に行って実際に商品を確認し、スマホ経由で購入するなど、購買パターンも多岐にわたってきた。その流れを科学的なデータによって実証することで、マーケティングのあり方も変えていきたい」
--マーケティングリサーチの進化は、景気にどういった影響を与えるのか
「生活者の変化を迅速にとらえ、価格競争を追求するのではなく、求めている価値は何なのかを明らかにできる。また、現在は小売り主導で価格が決まっていくが、メーカー側がデータに基づいてきちんと提言できるようになる。間接的に脱デフレ、経済成長に貢献するはずだ」(伊藤俊祐)
【プロフィル】
石塚純晃 いしづか・のりあき 明大政経卒。1982年社会調査研究所(現インテージ)。2006年取締役。常務、インテージ分割準備会社社長を経て2013年10月から現職。54歳。東京都出身。
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【会社概要】インテージ
▽本社=東京都千代田区神田練塀町3番地 インテージ秋葉原ビル
▽沿革=1972年設立のインテージは2013年10月から持ち株会社体制に移行。現インテージはインテージホールディングス傘下の事業会社として13年4月に発足
▽従業員数=1096人
▽事業内容=マーケティングリサーチ
「フジサンケイビジネスアイ」