■イベント・季刊誌で新商品情報
昨年7月に行われた「オヤノコト.エキスポ2012」の会場=東京都千代田区の東京国際フォーラム(オヤノコトネット提供)
高齢の親をもつ中年世代と、シニア向けに優れた製品やサービスを提供する企業。両者の橋渡し役として、イベントやフリーペーパーで情報を提供しているのがオヤノコトネット(東京都中央区)。なかでも毎年好評なイベントが「オヤノコト.エキスポ」だ。親思いのシニアに役立つ商品・サービスの展示会のほか、各種セミナーで構成している。今年も27、28の両日、東京国際フォーラムで開く。第6回目となる今回は、約70社が出展し、操作が簡単な家電や乗り降りしやすいクルマなど、高齢者の衣食住に役立つ製品やサービスを披露する。高齢化が加速するなか、今年も多くの人々の注目を集めそうだ。
ほかに、登山家の田部井淳子氏ら人生経験豊富なゲスト講師を迎え、高齢の親との暮らし方や生き方のヒントを聞くことができる「オヤノコト.セミナー」を実施する。また、プロカメラマンから上手な写真撮影の仕方が親子で学べる写真教室など「親子de学び舎」も行う。オヤノコト.エキスポは毎年、口コミで参加者が増えており、大沢尚宏社長は「今回は2日間で3万人の来場を目指す」と意気込む。
同社は、年1回のイベント「オヤノコト.エキスポ」開催をはじめ、親のことを思い開発された新商品情報や著名人のエッセーなど、役立つ情報を満載した季刊のフリーペーパー「オヤノコト.マガジン」の発行を中心とした活動を行っている。
従来、同イベントには、中年世代が高齢の両親のことを思って参加する傾向が強かったが、最近は来場者の意向に変化がみられる。同社が昨年実施した来場者アンケートで「誰のために来場したか」の問いに対し、「自分自身のため」との回答が前回の3位から2位に上昇した。この結果から、高齢者向けに事業を展開する企業は、今後、親孝行のために購入する商品やサービスだけでなく、シニア世代が自分自身で購入し活用するという前提に立った商品開発などが求められるのではないかと同社では分析している。
一方、新たな試みとして、フリーペーパー「オヤノコト.マガジン」に関し、全国版とは異なる地域版の配布に踏み切った。6月には宮城県版の配布を開始。協賛した仙台トヨペットや仙台三越、ヨークベニマルなどの店頭で配布したところ好評で、「今後も、こうした横展開を広げていきたい」(大沢社長)と積極的だ。
大沢社長は、“オヤノコト”の取り組みを通じ、「思いやりマーケティングの考え方が徐々に浸透してきた。年を重ねるごとに不安を感じさせない社会の実現に向け、さらに活動を強化していきたい」と意欲をみせる。(那須慎一)
「フジサンケイビジネスアイ」