■同時に複数行為 脳・筋力強化
新しいトレーニングプログラムで転倒しにくい体づくりを目指す
高齢期にさしかかると、考えながら歩いた場合、転倒する確率が高くなる。加齢によって複数の行為を同時に行うことが難しくなるのが理由の一つだ。また、筋肉の衰えも大きな要因となる。
そこでスポーツクラブの企画開発・運営を行うメガロスは京大大学院の山田実助教と提携。2つ以上のことを同時にこなす能力の低下を防ぐことによって、介護予防につなげる新しいトレーニングプログラムを開発した。少子高齢化が進む中、スポーツクラブ業界では、健康志向の高い高齢者層をいかに獲得できるかが経営課題となっている。メガロスでは今回のプログラムなどで差別化を推進し、今後の会員増に弾みをつけたい構えだ。
新しいプログラムの最大のテーマは、転びにくい体づくり。その一環として、「二重課題能力強化プログラム」を導入し脳のトレーニングを行う。
例えば椅子に座り膝をたたきながら野菜の名前を言わせるメニューの場合、手が止まったり、手が動いたままで名前が出てこないようなケースが目立つ。メニューを繰り返すことによって改善を図り、複数の課題に同時に注意を払う能力の改善効果を目指す。
これと並行して力を入れるのが、筋力低下の予防運動と栄養補給に関するプログラムだ。とくに75歳以上になると、太ももの筋肉が急激に落ちる傾向が強くなることを考慮。筋力低下の予防運動と、加齢によって極端に落ちるビタミンDの摂取法を中核とした、栄養補給のあり方をメニューに取り入れた。
メガロスの経営は、2008年秋に発生したリーマン・ショックや11年の東日本大震災の影響を受けて厳しい局面が続いていた。しかし単価の維持に努めるなど企業努力が功を奏し、回復基調へと転換。今後は「従来の中大型店だけではなく、新業態の展開などを視野に入れて攻勢をかけていく」(木皿儀邦夫社長)としている。
こうした中、高齢者の会員を確保することは重要な課題。その一環として「100歳までイキイキと健康で」という理念の下、集団トレーニングを楽しく行う「倶楽部100」の運営に力を入れている。
新メニューは当初、都内の2店舗に導入。同社は5月時点で首都圏全27店のうち26店で倶楽部100を展開しており、効果を検証しながら導入を進めていく計画で、一連の新プログラムが自立支援につながることを、アピールしていく。(伊藤俊祐)
「フジサンケイビジネスアイ」