消費税増税 8割近くが悪影響を懸念 「価格転嫁できない」中小企業115社アンケート

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 フジサンケイビジネスアイが中小・ベンチャー企業115社に実施した景気アンケートで、消費税増税が業績に悪影響を及ぼすとみている企業が8割近くに上ったことがわかった。ほぼ同時期に実施した主要企業(123社)アンケートの54%に比べて20ポイント以上も高く、消費税増税に対する中小・ベンチャー企業の懸念の強さが浮き彫りになった。

 アンケートは8月1日から9日までインターネットを使って実施した。

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 現在5%の消費税は2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げられる。この増税が業績にもたらす影響について「悪い影響が継続する」(36%)、「短期的には悪い影響が出る」(41%)を合わせて77%に達した。

 理由として「消費者の購買意欲が間違いなく減退する」(運輸・情報通信業)と消費低迷を挙げる意見が多かったが、「商品価格に転嫁すれば売り上げが鈍り、転嫁しなければ利益が減る」(サービス業)と、下請け、孫請け業務の多い中小・ベンチャー企業の切実な声も目立った。

 また、「税収をアップすると円買いが発生して円高になり、消費低迷にとどまらない悪影響が出る」(その他産業)との見方もあった。

 一方、「いい影響が出る」はゼロだったが、10%が「どちらかといえばいい影響が出る」と答えた。理由として「企業の業務改善や海外展開の必要性が高まる」(サービス業)、「システム修正の仕事が増えるのでは」(別のサービス業)などを挙げた。

 「消費税増税時にどんな政策を取るべきか」の質問に対しては、「軽減税率など低所得者対策」が34%でトップ。以下、「個人消費の刺激策」(27%)、「金融緩和などのデフレ対策」(13%)と続いた。

 ちなみに主要企業アンケートは「個人消費の刺激策」(37%)、「低所得者対策」(19%)の順で、主要企業と中小・ベンチャー企業で増税時の政策の優先順位に違いが出た。

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 また、国内景気の現状について「横ばい(踊り場)」が43%と最も多く、「後退」「緩やかに後退」は合わせて38%だった。ただ、昨年の同時期に行った中小・ベンチャー企業(102社)アンケートで「後退」「緩やかに後退」が合わせて54%だったことを比較すると、16ポイントも低下し、景気回復を〝実感〟している企業が増えていることがわかった。

 ただ、「拡大」はゼロ、「緩やかに拡大」は17%で、昨年の拡大局面にあるとした21%に比べてやや減少した。

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 同様に、景気の本格回復の時期について尋ねたところ、「分からない」が56%を占め、過半数の中小・ベンチャー企業が先行きについて懸念を抱いていることがうかがえた。「すでに回復した」あるいは「今年度中に回復する」と見込んだのはわずか13%で、「13年度中に回復」と答えた企業を合わせても32%にしかならなかった。

 一方、アンケートでは、今後の国内の原子力発電所の再稼働をどうすべきかも聞いた。「必要最小限の原発だけ稼働させるべき」が42%と最も多く、以下「再稼働すべきでない」(21%)、「安全確認ができた原発を順次再稼働していくべき」(19%)と続いた。

「フジサンケイビジネスアイ」

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