デンマークの補聴器メーカーの日本法人、ワイデックス(東京都墨田区)は、JTBと共同で、耳の不自由な人向けの海外旅行ツアーを企画し、申し込み受け付けを始めた。
補聴器の利用者は、重要な説明を聞き逃してしまうことなどへの不安が大きく、海外への出発に尻込みするケースがあるとみられる。このため、独自のサービスで対応し、安心して旅行を楽しんでもらう構成としているのが特徴だ。
ツアーは「ワイデックス補聴器のふるさとデンマークに行こう! 世界遺産のフィヨルドと北欧3か国の旅 9日間」。補聴器の調子が悪くなるなどの不安を解消するため、補聴器の調整ができるワイデックスの専門スタッフが同行するほか、重要事項はホワイトボードに書いて案内する。
また、出国や搭乗手続き、現地での観光、ホテル、レストランの情報は、解説パンフレットを事前に渡す。宿泊ホテルのスタッフとも入念な打ち合わせを行い、非常時の避難や誘導にも配慮する態勢を整えている。
ワイデックスに協力するのは、足腰に自信がない人向けのスローツアーや、車いすの利用者も安心な旅を手がけるJTB首都圏の「心ふれあう旅」デスクだ。
ツアーではデンマーク・コペンハーゲンのワイデックス本社を見学するほか、ノルウェーやスウェーデンもまわる。ストックホルムではノーベル賞授賞式の晩餐(ばんさん)会のメニューによる夕食を楽しめる。
ツアーの1人当たり料金は、来年6月9~17日が39万9000円、7月7~15日が41万円。ホテルは2人1室利用で、燃料サーチャージ、空港施設利用料などは別途必要となる。問い合わせや申し込みはJTB首都圏の三田支店(東京都港区)にある「心ふれあう旅」デスクで受け付けている。
また、ワイデックスはこのツアーに限らず、旅行者向けに補聴器を無料で貸し出すサービスを始めた。旅行中に不安を感じないように、専門家が各利用者向けに調整する。
補聴器の性能を確かめてもらうことで、販売につなげる狙いもある。
「フジサンケイビジネスアイ」