iPhoneおよびiPad、Androidなどのスマートフォンやタブレット端末の普及にともない、セキュリティに対する関心が高まっている。 端末の起動時などに行う本人認証も重要なセキュリティ対策の1つで、パスワード認証が一般的。スマートフォンを中心に、指紋認証や顔認証、声認証などの生体認証機能を搭載する機種も登場している。
スマートフォンやタブレット端末の画像をタッチして本人認証が行える「LockTile」
こうした本人認証を、英数字などで作成したパスワード入力ではなく、「画像選択方式」で手軽に行えるのが「LockTile」(ロックタイル)=写真。情報システムの開発・導入・運用のコンサルティング等を手がけるインフォファーム(本社・岐阜市/http://www.infofarm.co.jp/)が開発を行っている。
スマートフォンやタブレット端末のロック画面に表示される画像の中から、自分だけが知っている数枚の画像をタッチして本人認証を行うのが「LockTile」の特徴。あらかじめ設定しておいた3枚以上の画像をタップし、端末の画面ロックを解除する。自分で撮影した写真や好きなイラストを使用することができ、認証に必要な画像の枚数を増やす、画像のタップ順を指定するなどのカスタマイズが可能。タッチ操作の「のぞき見防止機能」(特許出願中)も付属している。
同社によれば、画像選択による認証は「パスワードのようにすべてを思い出さなければならない方式よりもユーザーに優しい」という。またパスワード方式では、自分や家族の誕生日、電話番号を始め、他人に予測・類推されやすい数字などが使われることが多い。その意味で、画像選択方式には「数字にはない安心感がある」と、同社は導入メリットを説明している。
企業向け製品も展開
「LockTile」は、NECが7月5日に発売したAndroidタブレット端末「LifeTouch L」に採用され、「写ロック」として標準搭載されている。7月16日には、Android用パスワード管理アプリの「LockTileパスワード管理」=写真=が「Google Playストア」に登録され、無料でダウンロードが可能になった。iPhone、iPod touch、iPad向けアプリも7月23日から無料公開を開始。「LockTile」の画像認証で、会員制のWebサイトやメールアカウント、クレジットカードなどに登録しているID・パスワードを一元管理できる。アプリに登録した設定データやパスワード情報を一括してバックアップできる機能もある。
Google「Playストア」でAndroid用アプリの「LockTileパスワード管理」が無償ダウンロードできる。iPhone、iPod touch、iPad向けアプリも無料公開を開始した
インフォファームでは、同アプリの公開を通じて画像選択方式の認知度を高め、スマートフォン、タブレット端末への採用を目指した営業活動を強化していく考えだ。一方、同社では「LockTile」をパソコン向けにも展開していく。今年10月に予定されている「Windows8」の発売に合わせ、現在開発中の企業向けエンタープライズ製品の販売を開始する。Windowsベースのサーバーとクライアントを使用し、「LockTile」認証によって顧客先システムのセキュリティを高めるソリューションを提供。PC・サーバーメーカーおよびディーラーのほか、大手生保や銀行など、多数のパソコンを保有している企業を中心に展開していくという。 「『LockTile』はスマートフォンやタブレット端末にとって最適な認証手段。将来的にはパソコンにおける認証方式としても普及させていきたい」と、同社新事業開発室の中村義則マネージャーは抱負を語る。
「フジサンケイビジネスアイ」