ユニークな手法で中小企業の中国進出を支援するFLYINGのオフィス=名古屋市中区
世界第2の経済大国となった中国。日本市場が縮小する中で中小企業に中国進出を模索する動きが相次ぐ一方、ノウハウや知識不足で中国ビジネスが軌道に乗らない企業も多い。
中国ビジネスのコンサルタント、FLYING(名古屋市中区)の加藤剛社長は「中国での日本企業は全てゼロからのスタート。むしろ、中小企業の方がビジネスチャンスが大きい」と進出支援に商機を見いだす。支援ではマーケティング力不足で伸び悩む姿を見て、その手助けに全力をあげている。
効果をあげたのが愛知の伝統産品、常滑焼(とこなめやき)急須の輸出。地元の卸販売業の取り組みをアシストした。ポイントは販売を託す現地事業者の選定と市場調査。そもそも陶磁器の本場の中国で受け入れられるのか、入念な下調べが求められた。
現地で試験的に常滑焼急須の展示会を開くと意外と好評だった。あとは信頼できる現地事業者を探し、マッチングさせること。これにはFLYINGをともに立ち上げた中国人パートナーが、独自の人脈を駆使して最適の事業者を探し出した。中国人とともに会社を設立したのにも狙いがある。かつて、大手家電量販店の中国駐在員などを経験した際、現地のビジネスは中国人とやった方がスムーズだと実感した。「中国は人脈の国。現地の状況、人脈をうまくつかむには、中国人と一緒にやるのがいい」。狙いは当たった。
昨春の発売から1年間で6000個以上を販売し、中国は主要取引先になった。急須以外の製品の販売準備も進み、伝統産業に新たな市場を切り開いた。
今春から態勢をさらに強化した。コンサルタントは、1社だけでなく複数社で行えば効果的では-。そんな考えから加藤社長が呼びかけ、愛知県内の4事業者が集まり「GiC(ジック)」を発足させた。
ライバルの垣根を越えて4者がそれぞれ得意分野を生かして顧客に最適なアドバイスを行う画期的な試みだ。すでに4件の依頼があり、出だしは好調だ。
加藤社長は「GiCは中小企業支援専門の事業者だからこそできる、きめ細かいサポートが売り。大手コンサルタント業者への依頼に比べ、コスト面でも優位」と一層の売り込みを図る。「中国で成功する企業には必ず助言者がいる。中小企業の右腕として中国ビジネスを支えていきたい」と意気込む。(内山智彦)
「フジサンケイビジネスアイ」