【プロフィル】
上嶌 靖社長(うえしま・やすし)
青山学院大学在学中に起業し、現職。49歳。北海道出身。
ICT(情報通信技術)サービス企業のコムスクエアが、サーバーやネットワークを監視するソフトウエア「パトロールクラリス」と、成果報酬型(アフィリエイト)の広告を電話で実現した「ペイパーコール」の2つの中核事業を順調に伸ばしている。在学中に創業し、事業を軌道に乗せた上嶌靖社長は今、海外展開に力を入れている。
--クラリスの特徴は
「コンピューターシステムの不具合を検知する監視ソフトは、従来のエージェント型のソフトだと全てのサーバーにプログラムを入れないといけないが、エージェントレス型のクラリスは1台の監視サーバーに設定するだけで、各サイトの挙動を1ページごとに監視できる」
--コストも抑えられるのか
「導入企業で総コストがほぼ半分になった例がある。操作性に優れるインターフェースのわかりやすさも、人件費の大幅な削減につながっている」
--ソフトの販売は順調か
「既に600社を超えており、この事業の売上高は倍増ペースで伸びている。システムの基本監視項目が無料・無制限で使い放題になるキャンペーンも始め、新規顧客の獲得を図る」
--海外戦略は
「英語のソフトを使う米欧各国をはじめ、インドなどアジア太平洋地域の各国での拡販を目指す。現地のパートナーと組み、エンジニアの教育も進めていきたい。中国など数カ国では既に代理店を展開している」
--米国に後れをとる日本のソフトは海外で通用するのか
「日本発のソフトを世界に売り込むというチャレンジをしたい。海外の大手とも今なら戦える。スピードが大事だ」
--2003年に始めたペイパーコールの仕組みと現状は
「サイトに表示された『予約専用番号』に電話を掛けてきた利用者が、どの広告やサイトを見たのかだけでなく、いつ、何分ほど通話が成立したかも把握できる。ヤフー、マピオンなどの各社に採用してもらい、売り上げは20%増のペース。特許も日本や米国で成立し、EU圏や中国にも出願している」
--今後の展開は
「広告を見て電話をかけてきたユーザーに、ショートメッセージサービス(SMS)で誘客情報を送ったり、地域の商店・サービスの広告を配信する仕組みなど、ネットから電話、そしてリアル店舗へと誘導する『O2O』(オンライン・ツー・オフライン)支援機能を強化している」(村山雅弥)
▽本社=東京都江東区塩浜2-2-13((電)03・4461・2511)
▽設立=1989年11月(設立時の社名は「シンセサイズ」)
▽資本金=3億4562万円
▽従業員=52人
▽事業内容=電話による成果報酬型の広告を実現した音声型のクラウドサービス「ペイパーコール」と、コンピューターシステムの監視ソフト「パトロールクラリス」の販売
「フジサンケイビジネスアイ」