スキルアップジャパン 坂野哲平社長
■動画配信 南米市場でも飛躍目指す
インターネットでパソコンやスマートフォン(高機能携帯電話)などに動画を配信し、着実に収益を確保するためには、システム構築から運用・管理まで、多くの技術を組み合わせる必要がある。こうした動画配信の仕組み(プラットフォーム)を開発し、映像コンテンツを扱うテレビ局などに提供しているのがスキルアップジャパンだ。坂野哲平社長は大学卒業と同時に起業。約10年で国内の事業基盤を固め、次のステップとして南米市場での飛躍を目指している。
--会社設立の経緯は
「一緒に始めた菅原宏明取締役とは大学時代の寮が同じだった。彼の部屋には連日、同じ寮の外国人留学生などが集まり、飲みながら語り合った。みんな心意気が熱く、留学生は帰国後の夢を語る。それで、われわれも何かを始めようと考えた。当時、将来のライフワークとして宣言していたのは、ネットにコンテンツを乗せてビジネスを行う場をグローバルに作るということだ。映像はその一つの形だ」
--メーン事業である動画配信の仕組みづくりとは
「動画配信には映像圧縮や課金システム、広告配信など多くの技術が必要だ。当社は海外から技術者を雇って基礎技術を自社開発し、製品にしている。素材があれば、パソコンやスマホなどで配信できる仕組みをすべて用意し、大手テレビ局や広告代理店などが採用している」
--軌道に乗ったのか
「国内事業は完全に黒字化した。今年は国内で得た利益を今後の海外展開に回していく」
--具体的には
「すでにチリに子会社を設立し、技術をサポートできるようにした。現在、スマホの動画配信アプリを手がけ、現地テレビ局の動画を南米のスペイン語圏全域に配信している。3月には日本のアニメも配信する」
--なぜ南米に進出するのか
「市場として上り調子だからだが、それは後付けの理由にすぎない。実際には私が大学生のとき、交換留学でチリに行ったためだ。そのときの人間関係があり、チリ大学などと共同研究もやっている。チリで商品を作って売ることから始め、ある程度の基盤もできた」
--チリ以外はどうか
「ブラジルだけはポルトガル語圏なので新しい法人をつくって対応する。年内にも現地法人を稼働させたい。それ以外のスペイン語圏では、チリと同じ事業を展開できるのか、各国ごとの対応が必要なのかを見極めたい」(長谷川秀行)
【プロフィル】
坂野 哲平
さかの・てっぺい 小学校から高校卒業までの8年間を米国で過ごした後、早稲田大学理工学部。2001年の大学卒業直後にスキルアップジャパンを設立し、現職。34歳。三重県出身。
【会社概要】
▽本社=東京都新宿区高田馬場1-24-16 内田ビル
▽設立=2001年4月
▽資本金=1億800万円
▽従業員=127人(11年9月末)
▽事業内容=デジタルコンテンツ配信プラットフォームの提供事業、ウェブプロモーション事業など
「フジサンケイビジネスアイ」