ヴィノスやまざき専務 種本祐子氏
■新しい世代に引き継がれる夢
20年来の友人がカリフォルニアからやってくる。ワインの銘醸地ナパヴァレーからウォーターストーンワイナリーのフィリップが16日から来日することになった。
フィリップと初めて出会ったのは、20年近く前、私がカリフォルニアワインのコンテストで初めて研修のため訪れたパライソぶどう園だった。パライソはカリフォルニアのモントレーにあるぶどう園だ。当時ナパヴァレーこそ有名な産地だったが、モントレーは秀悦なブドウを作る農業地としては知られていたものの、ワインの産地としてはまったく無名だった。
しかし、ナパヴァレーの有名な大手ワイナリーがそのブドウを契約して購入するなど、ブドウの品質の良さには定評があった。パライソぶどう園のオーナー、リチャードはモントレーの産地のブドウで高品質なワインを作り、「モントレーという産地名を有名にしたい」と、熱く語っていた。
その後パライソのワインは、その品質の良さとコストパフォーマンスで全米トップクラスの評価を得て、モントレーの産地ブランドを確立することに成功した。そして、その陰の貢献者が初代パライソのワインメーカーであるフィリップ・ゾーンだった。
フィリップ(左)の共同経営者であるブレント・ショートリッジ氏(右)と筆者(中)=米カリフォルニア州
ドイツ人の彼は、ドイツで学んだワイン作りをカリフォルニアで花開かせた。そしてモントレーで培った力を、いつかはナパヴァレーで、そして世界で花開かせようと、われわれは熱い夢を語り合った。
現在、フィリップは世界のワイン産地の頂点とも言えるナパヴァレーで、素晴らしいワインを作っている。彼の作るカベルネソーヴィニヨンは数万円以上の有名ワイナリー以上の評価を得て、ナパヴァレーのオークションでも大人気を博している。
そのフィリップが、今回は息子と一緒に来日する。モントレーのぶどう園で20年前に芽生えた夢は、さらに新しい世代に引き継がれようとしている。今回の来日では、20代のワインメーカーの息子も、東京をはじめとする当社各店舗でワインセミナーを行う。この夢をお客さまに伝えられる素晴らしいクリスマスイベントとなることを祈ってやまない。
「フジサンケイビジネスアイ」