アタックスグループ(税理士法人、経営コンサルティング)

【知恵の経営】アタックス研究員・坂本洋介 地域にこだわるお菓子屋

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アタックス研究員 坂本洋介氏

 たこ満は、静岡県菊川市に本社を構え、和洋菓子の製造・販売を行っている。その土地でその季節にとれたものを食べるのが健康に良いという考え方を示す「身土不二」の心を大切に、遠州という地域にこだわり、成長発展を続ける企業である。

 同社の特徴は、(1)遠州という地域に密着している(2)菓子製造業という古い業界の常識をぶち壊し、理念に基づいた計画経営、商品開発、事業展開をしている(3)人づくり・人財教育に力を絶えず注ぎ、さまざまな仕組みを構築している-ことだ。

 お菓子屋を営むのに社名を「たこ満」としているのは、先代が東京のお菓子屋に修業に出た際、初日の夕食に入店祝いのごちそうにと出された「蛸酢」のあまりのおいしさに感激したことに由来する。

 「早く一人前になって、この蛸酢に負けないおいしいお菓子をつくって、お客さんの心を豊かに満たしたいという、初心を忘れないでいたい」という先代の思いが込められているのである。

◆苦い経験を生かす

 そんな同社の店舗は全て静岡県を流れる大井川よりも以西の遠州地域に立地している。基本的に遠州地域以外には出店しない。

 それは、お菓子は地域産業であり、また同社でつくるお菓子は遠州という地域をテーマとし、遠州の素材をふんだんに使っており、そこに身土不二の思いがある。だから遠州という地域にとことんこだわっている。

 出店戦略だけでなく経営理念への思いも深い。これは平松季哲社長が1号店を出した際に、工場で働く社員が次々と離職していったことを経験しているからである。

 会社が順調に拡大しているにもかかわらず、社員が離職していくのを目の当たりにして平松社長は悟った。会社が大きくなっても、働く社員がこの会社にいてよかったと感じ、そしてお客さまがこの店で買ってよかったと感じられるような店づくりが重要だ。そして、「ひとりのお客さまの満足とひとりの社員の幸せ」という経営理念を定め、1984(昭和59)年7月の第1回経営計画発表会で全社員に向けて発表した。

◆人づくりに注力

 同社が目指す事業のあり方はこうだ。一人一人のお客さまが1回ごとの買い物に満足することで売り上げや利益が伸び、会社がさらに顧客満足への再投資ができ、同社の社員が誇りを持つとともに生活が物心両面において豊かになることである。

 このため、人づくりへの思いも非常に強い。平松社長は「菓子づくりは人づくり」、また「社員は会社を自分の幸せのために利用してほしい」と言う。それは、平松社長が先代から全てを任せてもらい、ここまで自分の思うように経営してきたこともあり、社員にもそういった環境をつくりたいという思いがあるからである。

 また平松社長は、同社を常に自身が新卒で入社したい会社であるかということを基準に考えている。そのために、仕事にやりがいが感じられ、自分を成長させてくれる何かがあり、自分だったらもっとこうしたいということを考えながら仕事ができる環境を重視して、人づくりに力を注いでいるのである。

【会社概要】
アタックスグループ
 顧客企業1700社、スタッフ170人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡でサービスを展開している。

「フジサンケイビジネスアイ」

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