東日本大震災の被災地で支援活動を行うインフォコム社員らの炊き出しチーム。
疲労回復に効く「薬膳麻婆豆腐」を提供した=岩手県陸前高田市
中国の伝統医学に基づく料理「薬膳(やくぜん)」を健康と美容に-。情報サービス会社のインフォコム(東京都渋谷区)は“健康的な美肌づくり”に役立つ薬膳や調理法(レシピ)を紹介する情報配信サービスを19日から、スマートフォン(高機能携帯電話)向けに始めた。ネットを頻繁に利用する女性顧客層の開拓が狙いだ。
新サービスは、米アップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」向けに「美白薬膳レシピ」と呼ぶアプリケーションソフトを配信する。
特徴は、美容上の効果が高いレシピを110点以上収録したことだ。スマホ利用者は600円でアプリを購入すれば、「食材」「主菜・副菜」などの切り口で検索してレシピを閲覧でき、肌質の診断なども行える。
今後は、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載スマホ向けにも薬膳関連のアプリを提供したい考えだ。
こうした展開は、スマホの爆発的な普及をきっかけに到来する「ネット配信ビジネス戦国時代」への布石でもある。従来型携帯端末からスマホへの機種変更などを機にコンテンツ配信各社は、既存顧客流出のリスクに直面している。
ネットビジネス事業本部長を務める竹原教博取締役は「スマホの特徴を最大限に生かせるコンテンツをいかに提案するかが生き残りのカギだ」と手綱を締める。その一つである薬膳コンテンツの事業で、3年以内に5億円の売上高をめざす。
薬膳コンテンツの配信は、昨年5月に携帯電話向け薬膳レシピ情報サイト「体スッキリオイシイ薬膳」を開設したのを機に本格化させた。
薬膳サイトの売りは、一人一人に合った食材やレシピを表示できることに加え、手軽に体質診断も行えること。
同社はサイトと連動した多彩な社会貢献活動にも力を入れている。その一環として松山大学(松山市)の学生らと薬膳レシピを共同開発。今月からレシピのスープを同大学食堂のメニューに加え、この活動を薬膳サイトでも紹介している。
一連の実績を生かしながら同社は、スマホをめぐるコンテンツ流通市場で優位に立つための戦略を着々と打っている。(臼井慎太郎)
「フジサンケイビジネスアイ」