ソーシャルメディア活用電子書籍の新サービス「ツイパブ」の画像のイメージ
■jig.jp、ソーシャルメディア活用の電子書籍
モバイル機器向けを中心としたソフトウエアの開発、提供を行うjig.jp(ジグジェイピー、東京都新宿区)は、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアを活用し、読書体験を共有できるスマートフォン向け電子書籍サービス「ツイパブ」の試験提供を行い年内には、正式版の提供を開始する。
スマートフォンなどで読める電子書籍ストアの数は乱立気味で、どのストアにアクセスすると、自分が好きなカテゴリーの本を入手できるかも、分かりにくくなっているのが現状だ。
一方、「ツイパブ」は、ソーシャルメディアを活用し、フェイスブックやツイッターなどで共通の友人などが読んだ電子書籍の情報がアップされていく仕組みで、感想文などがなくても、ツイパブ上で購入した電子書籍を読んだ場合は、読んだことが仲間に伝わるようにした。
また、自身で小説など読み物を書く人は、ツイパブ上に作品を公開することで、すぐに評価などが分かるだけでなく、良い作品であれば、つぶやいてもらえて、より多くの人の目に触れるきっかけになる可能性もある。
大手出版社などの版元も、自社の電子書籍向け作品のプロモーションをかけたい場合に、例えば、立ち読み機能の活用で作品の一部を無料公開し、気に入ってもらえた時点で有料販売することも可能で、ここでも、口コミによる話題性を高めることができる。
当初は、無償でアプリの提供を行うが、将来的には有料のプレミアム会員制度などを設けるほか、版元による広告などを収益源にしていく考えだ。
現在、試験版を公開しているが、すでに、学研ホールディングス(HD)やインプレスR&D、アゴラブックス、太田出版など大手版元が参画している。今後、直木賞作家の志茂田景樹氏や、「ブラックジャックによろしく」の作者で、ウェブサイト「漫画onWeb」を運営している佐藤秀峰氏の書き下ろし作品など、著名作家から直接配信が予定されており、さらに作品数が増える見込みだ。
出版社など版元は、ツイパブ上で作品にどれだけコメントが寄せられたか、読者のやり取りや感想などの解析データを望んでおり、同社では、今後こうした情報を有償提供することを考えている。
持田泰・ツイパブグループリーダーは「電子書籍ならではの読書体験を通して、新しい読者層を開拓できるよう、ツイパブサービスを今後も改善していく」と意気込む。(那須慎一)
「フジサンケイビジネスアイ」