改めて思う「仕事の幅」拡充への効果アマチュア競技参加の勧め

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けて、多くのスポーツイベントが中止・延期されている。そのせいか改めてスポーツの持つ意義や価値を感じる。スポーツをすることによって、体が鍛えられるのは当然だが、そのほかにもさまざまな効能がある。

スポーツには、人間関係の距離を近づける効果がある。仕事で知り合った人とゴルフやテニスをして、その人の意外な面を知ったり、自分との共通点に気づいたりした経験をした人は多いと思う。相手の理解が深まることによって、さらに相手に興味を持つ。そうして人間関係が深まっていく。

スポーツの競技大会に参加すると、それまで全く知らなかった人と知り合うことができる。特に国際大会に参加すると得るものは大きい。大抵の競技大会では、試合後に表彰パーティーがある。初対面の人でも、同じ趣味を持つ者同士であり、その日の天候や、試合の運営、自分のポジションや調子などいくらでも話すことがある。競技したスポーツに関する話であれば、英語があまり得意でなくてもある程度話は通じるものだ。

「MUNDIAVOCAT(ムンディアヴォカ)」という40年以上続いている弁護士サッカーワールドカップがある。世界中の弁護士が弁護士会単位で参加するもので、私の同期も参加している。この大会は、参加者同士の交流も目的としていて、参加各国の弁護士は、大会を通してネットワークを広げている。このような職域単位の競技会に参加すると、気心の知れた同業者が増えて、情報も得やすくなり、対応できる仕事の幅も広がる。

私の趣味はヨットレースで、2006年以降はアジアで行われる国際レースにも参加するようになった。ヨットはもともと欧米で盛んなので、アジアの国際大会は、アジアはもとより、観光を兼ねて欧米からもたくさんのチームが来る。例えば、タイで元国王の生誕を祝って12月に行われるキングスカップというレースには、世界中から100チームが参加している。

同じ大会に繰り返し参加していると顔なじみが増えて、誰がどんな商売をしているかも分かってくる。私が日本の弁護士だと知ってインバウンドやビザの相談をしてくる人もいる。直接仕事に結びつかなくても、多様性が求められる時代において、さまざまな国の友達ができて、それぞれの習慣や文化の違いを分かり合うことは意義がある。

特に、クルーザーヨットレースのようなマイナースポーツでは、競技者同士の仲間意識が強く、親睦を深めやすい。ビジネスと同様、これから取り組むとしたら自分に合うニッチなスポーツを探すのも良いと思う。ニッチなスポーツでは、駆け出しのアマチュアとプロの距離感が近いというメリットもある。

また、競技に参加するようになると、勝ちたいのでさまざまな工夫を凝らす。その過程は、基本を学び、課題を解決するためのPDCA(Plan Do Check Action)を回す点で仕事と同じだ。その過程で、ビジネスのヒントになるような気付きを得ることもある。

スポーツ競技のメンバーになることは所属グループを増やすことになる。人は複数のグループに重複加入している方が精神的な安定性が高い。ここではスポーツについて書いたが、チェスやゲームなどスポーツ以外にもアマチュア競技大会はある。参加資格は特に問わないものが多いので、高齢労働社会を体も心も元気に乗り切るためにトライしてみることを勧めたい。 



【プロフィル】古田利雄 ふるた・としお 弁護士法人クレア法律事務所代表弁護士。1991年弁護士登録。ベンチャー起業支援をテーマに活動を続けている。法律専門家として複数の上場企業の社外役員も兼務。東京都出身。


「フジサンケイビジネスアイ掲載」

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