産業ガス大手のエア・ウォーターは25日、牛の糞(ふん)尿から得たメタンガスを液化天然ガス(LNG)の代替燃料として使う実証実験を始めると発表した。北海道の十勝地方にある牛乳工場で実施し、エネルギーの地産地消を進める。二酸化炭素(CO2)を増やさない取り組みの一つで、脱炭素社会の実現につなげたい考えだ。
環境省のCO2排出削減の実証事業として認められた。牧場の牛から、糞尿由来のバイオガスを集め、バイオガスに含まれるメタンガスを分離、液化して燃料に加工する。その後、よつ葉乳業(北海道)の牛乳工場に運び殺菌などの燃料として使う。ガスを液化し体積を小さくすることで大量輸送できるようにした。
期間は2023年3月まで。エア・ウォーターは実証実験で液化した燃料を年間360トン生産する計画。LNGに比べて温室効果ガス排出量を6割以上削減できると見込む。
エア・ウォーターによると、こうした実証実験は国内初という。広報担当者は「現状のコストは高いが、脱炭素化の動きが加速すれば経済合理性が高まる」と話した。
「フジサンケイビジネスアイ掲載」