日本システム企画熊野活行社長
水処理装置メーカーの日本システム企画(JSP)の熊野活行社長は日本ミャンマー友好交流協会会長として、毎月のように同国を訪れ教育・医療支援などに尽力。その一環として同国で購入・保護した国宝級の仏像301体を寺院に寄贈。昨年12月には、仏像を収める5階建て大聖堂の開所式に参加した。親日国・ミャンマーとの関係を深めるため、経済的な橋渡し役にも精力的に取り組む考えだ。また社長として今年、給水管などの赤さび防止装置の新市場開拓に本格的に乗り出す。
開所式は盛況だった
「最大都市ヤンゴン郊外にあるアウンザブタイヤ寺院(通称「ジャパン・パゴダ」)に、約40カ国から僧侶など仏教関係者2000人強が集まった。そこで、『縁あって(非合法的に地下マーケットに流された)仏像を救うことになった。301体が一緒になることで、世界の仏教徒を幸せにする。仏像の購入と大聖堂の建設などに資金をつぎ込んだが、私にとってそれ以上に幸せなことだ』とあいさつした」
開設後の様子は
「ヤンゴン中心部から車で1時間半かかるが、遊園地が併設されていることもあって週末には国内外から家族連れなど約5万人が訪れる観光地になっている。タイや台湾からチャーター便で来る観光客もいる。日本人にはあまり知られていないが、日本からも行くようになってほしい」
どんな仏像が祭られているのか
「1階は集会場で、2~5階に仏像を立像や座像など分けて配置。最上階には唯一ガラスで遮蔽された部屋があり、約2600年前に釈迦が作成したとされる『最古』の仏像が祭られている。このほかにも『椅子に座った』「横たわって半身を起こした」『立って右膝を突き出した』といった世界でも珍しい仏像が並ぶ。多くは国宝級で、仏像の価値は計り知れない」
ミャンマーとの関係強化につながった
「親日国との一層の密接な関係づくりのきっかけにしたい。人口は6000万人近く、若いエネルギーに満ちている。出入国管理法改正で4月から外国人労働力の受け入れ拡大が始まるが、日本の労働力不足を補うのがミャンマー人。精神的絆により日本にあこがれてくるのが理想だ。また仏像を通じ同国との人脈もできた。ビジネス展開には人材が不可欠であり、ぜひ生かしたい」
JSP社長として今年仕掛けるビジネスは
「主力事業である赤さび防止装置『NMRパイプテクター』では新市場開拓を目指す。これまで建物内の給水管や空調冷温水配管向けに販路を拡大してきたが、今年は水道管市場開拓に本格的に取り組む。水道管の老朽化が進み、更新時期を迎えているが、敷設替えには多額の費用がかかる。料金が2倍になるとの試算もある。パイプテクターを使えば約30分の1の費用で済むので、料金を上げることなく水道管を維持できる」
このほかには
「JSP生命研究所(所長・山本正雅氏)を設立、血管内酸化防止による健康・長寿の研究を始めた。この成果を出していく。医薬品医療機器法(旧薬事法)の関係からまずは海外で展開していきたい。海流発電事業も新たな展開を考えている」
【プロフィル】
熊野活行 くまの・かつゆき
東京理科大工学部卒。1972年大日本印刷入社。88年日本システム企画を設立し社長。日本モンゴル友好交流協会と日本ミャンマー友好交流協会の会長。69歳。東京都出身。
【会社概要】日本システム企画
▽本社=東京都渋谷区笹塚2-21-12
▽設立=1988年6月13日
▽資本金=2億8000万円
▽従業員=47人
▽事業内容=建物給水管などの赤さび防止・配管延命装置「NMRパイプテクター」の製造・販売など
「フジサンケイビジネスアイ」